この世にはびこっている台詞ではあるけど、これが失恋なのね?と彼女は大きな目を開けたまま唇だけで笑いました。良かった……あんなひと好きにならなくって、彼女はそう続けてもう何だって良いという風にだらしなく歩きだしましたがやっぱりそれは矛盾しているとおれは思うのです。汗を吸って指通りの悪い髪の毛は乱され、彼女は愚かに見えました。だけど彼女はこの瞬間、確かにひとつ賢くなったのでした。男って、とてもばかないきもの110714 あてどなし