ねためも | ナノ







一、雨なら幾らでも降れば良いという風に誰かはフェンスに上半身を預けて暗い空を見上げていた。彼には何もなかった。
二、この強さを否定されて堪るかという風に誰かは妖艶に煌めくアメジストに似た石を握っていた。彼にも何もなかった。
三、互いは互いが誰か判らずに擦れ違って去っていった。廻らない頭を棄てたい誰かと、追い付けない脚を棄てたい誰か。
四、ようやく見つけた互いは互いの求めるものを喪っていた。それでも曖昧に挨拶をして、快調を装い世界は回っている。




主題:剥製は射精する



110606 特徴を失した麒麟と象の話




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