ねためも | ナノ



吹豪第二弾





自分はたぶん、彼が哀れに思えて仕方ないのだった。
「ふぶ、きっ…あ、」
「吹雪ってだあれ、名前で呼んでくれないとどっちだか判らないよ。ね、豪炎寺くん」
吹雪はくすくすと笑う。が、俺は笑えずにいる。泣くのか、この慰みの奉仕に咽んで?
これは、ああ…そう、きっとあれだ。突然訪れる感覚に対する涙、いわゆる生理的なそれだ。そうに、違いない。
はじめは何度か伝えたのだ。アツヤは死んだ、もういないのだと。しかしそのたびに彼はたいへんに憤慨して、どうしてそんなひどいこと言うの、と泣きはじめるのでとうにそんなことはやめてしまっていた。
「そういえばアツヤも、豪炎寺くんのことが大好きだってさ」
兄弟ってそういうとこも似るのかなあ。どこか嬉しそうに話すのが見るに辛かった。彼の血を分けた兄弟は、今や彼自身の中である。自分がアツヤを生み出したことを、彼は知らないのだ。俺は目の前にある透き通った頬を撫でて、吹雪がまだ存在する人間であることを何となく確かめてしまった。






110417 いかさま




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