※色々とおかしい垣根


(ふざけんな、)

自分が第二位だって分かったとき感じたのは怒りでも悔しさでもなくて安堵だった。勿論全然残念じゃなかったわけじゃない。だけど、それ以上に安心した。その時はなんでこんなこと思ったのか分からなかったけど、

(今なら、分かる)

下に落としていた視線を戻すと、白い化物の姿があった。基調の変わった服に、チョーカー。見た目に多少変わったところはあったけれど、それでもアイツは学園都市最強の化物だったはずなのに。かつて2万人近くの人間を殺す実験に加担していた残虐で冷酷な人間だった、はずなのに。

「…何してんだよ、一方通行」

なに、誰かを守ろうなんて考えてんだよ。
そう続くはずだった言葉はどうしても音にならなかった。学園都市最強の化物が目の前で、たった一人の少女を守るために必死になってる姿は自分からしてみれば笑えるものだったはずなのに、どうしても笑えなかった。

「お前がヒーローになろうなんざ、考えてんなよ」

お前はもっと、もっとドロドロした暗いとこにいるべき存在だろうが。明るい笑顔を向けて貰えるような、幸せな世界にはいられないような奴なのに。

(俺と、同じ)

なあ、なんで。なんでそんなに必死になってんだよ。
お前は俺と同じだったはずなのに。俺より上の第一位で。俺より深い闇の中にいたのに。
なんで、お前まで。


(俺を、置いていくんだよ)





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