輪るピングドラム | ナノ

焼けた恋跡にキスをして(苹→晶)






最後は、貴方から、私へ。




この世界には、おまじないという不可思議なものがあるの。知ってる?
それを唱えたり、実行すると、願いが叶うって言われているの。

私はね、日記が、おまじないそのものだった。
この日記があれば、私は生きていける。そう思っていた。だって、この日記があれば、未来が書いてあるから、何が起こるかも、わかってしまうから。
運命の人も知っている。その人との運命を共にするために、日々を生きているようなものだった。

そんな中、私は、高倉晶馬と出会い、私の運命の歯車は廻り出した。

それからだね、私の隣には、いつだって、貴方がいてくれていた。
貴方がいてくれて、私をいつも守ってくれていることに、どうして、どうして、私は気づかなかったんだろう。

だから、私は、晶馬君を守りたかった。

どうしてかって?
そんなのは当たり前だよ、私は晶馬君が好き。
私をいつも守ってくれるから、晶馬君の事が好きなわけじゃないよ。

晶馬君の、高倉家の運命を知っていく度に、私は孤独を苦しみを知っていった。
それなら、分け合いたいって思うよ。嬉しいことは二倍、悲しいことは半分にしたい。それに私はこの運命の中にいる。この列車の中に乗っている。

それなら、終点まで、ずっと行動を共にしたいと思っていた。

晶馬君が、私に、それを望んでいなくたって、私は引かないよ。だって、私は晶馬君と一緒にいたいんだもん。
ずっとずっと一緒にいたいんだもん。

そう思うことの、何がいけないことなのかな?


私は次の駅で、晶馬君が来るのを待っていた。
晶馬君が私を受け入れてくれて、心を開いてくれるのが嬉しかった。
与えるのが私の愛情。
晶馬君が私を守ってくれた分、私はその分、彼を愛していきたかった。

もう、嫌だな、私だってまだ、言ったことがなかったのに、大事な大事なおまじないの言葉。

言うだけで、相手も、私も幸せになれるその言葉。




「ありがとう、愛してる」



酷いよ、ずるいよ、そんな大事な言葉を言い残して、いなくなっちゃうなんて、信じられないよ。

置いて行かないで、晶馬君。



「愛してる」



私はこの言葉を呟き、手を延ばし続ける。
私は彼を愛している。たくさんの愛情を。

私から、貴方へ。






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タイトル・涙星マーメイドライオン






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