Commemoration | ナノ


あなたが笑う、それだけで(ジュミラ)









ジュード→マクスウェルの末裔。だが何も知らぬまま、人間界で精霊として誕生
ミラ→10歳。マクスウェルの巫女として育てられる。ジュードが来るのをずっと待っていた。




精霊である僕は、人間である女性、ミラからひとつのペンダントの贈り物をされた。
それはまだ、僕は生まれたての精霊で、ミラはまだ子供の頃の時のお話。

ミラと初めて会ったのは、二・アケリアから少し歩いた先にある社。霊山から降り立った僕は、情けないことに、山を下るだけで体力を消耗しきってしまっていた。
たったこれだけで、マナを消費してしまうなんて。
生まれたばかりの僕であっても、なんの為にこの地に下ろされたのか、わかっているだけに、悔しさも込み上げてくる。

「君は、精霊か?」

ほぼ地面に横になりかけていた僕を助けてくれたのは、綺麗な金髪の髪の長い、小さな女の子。
大精霊クラスにならないと、僕の姿は人には見えないはずなのに、どうしてこの子には、僕の姿が見えるんだろう。

「僕の姿が見えるの・・・?」

「ああ、見えるさ。だからこうして、声をかけている。大丈夫か?」

「そう、なんだ・・・」


僕はこの後、意識を失った。
どのくらい眠っていたのかわからない。次に目を覚ました時、僕はある建物の中にいた。
見た所、祭壇のようなものがある。何かを祭っているらしい。そんな場所の近くに、僕を、僕なんかを寝かせたりしておいて大丈夫なのだろうか。あの少女は一体何者なんだろうか。

「目が覚めたか」

と、彼女の事を考えていたら、ちょうどよいタイミングで、ミラが姿を見せる。

「うん。その、助けてくれたんだよね?ありがとう」

「私のマナを君に分け与えた。しかし何分、私がまだ幼い故に申し訳ない、まだ君に充分なマナを・・・」

「えっ、ええっちょっと待って、つまりはその、し、使役したってこと?」

「?そうだが」



うわあ、本当に?こんな小さい子に使役をさせてしまうなんて、僕は一体何をやってるんだ、しかもか、可愛い・・・いやいや、そうじゃなくって!
僕の頭の中はヒート寸前であった。
そして、それを遮るかのように、少女はぎゅっと僕に抱きついてきたのだ。


「え、ちょ、ど、どうしたの君?え、えっと・・・」

「私はミラだ。起き上がってふらつくかもしれないだろ、ほら、私を抱きしめろ。こうするのがいいと、本に書いてあったんだ」

「み、ミラ。大丈夫だから」

「いいから。また倒れられては困る」

「どうして困るの?」

「その・・・なんだ、困った人は助けろ、と、私の祖父がよく口にしているからだ。ほら早く、抱きしめろ」


困ったな。僕はなんでこんなにドキドキしているんだろう。こんな小さい子にドキドキして、これは普通の感情なのかな?よくわからない、でも彼女の小さな力が、僕を癒してくれていることは、わかったんだ。いきなり色々なことがありすぎて、頭がついていかないよ。

それでも今の僕にできることは、目の前のミラを抱きしめることだろう。
ぎゅっとぎゅっと小さな体を、僕は抱きしめる。ああ、温かい。何かが体の中に流れ込んでくる。これが、マナ?


「お待ちしておりました。ジュード様」

「え?」

「改めて私はミラ。あなた様のお世話係を務めさせていただきます。以後なんなりと」

「え、えっと」

「こんな事を今言われても、生まれたばかりのあなたさまには、ご理解いただけないでしょう。でも、大丈夫。私がひとつひとつ、教えて差し上げます」



本当にその通り。なにがなんだかさっぱりわからない。
けれど、僕は何かの使命を持って、生まれたばかりの小さな精霊。この少女ミラは、すべてを知っている。他にいく宛もないし、それならば。


「・・・僕はジュード。精霊です。よろしく、ミラ」

「どうぞ、よろしく。ジュード、さっそくですが、これは私達の信頼の証になります。どうぞお受け取りください」


そうしてミラは自分が、首もとにかけていたペンダントを外し、僕にかけてくれた。
青い宝石がキラキラと輝いている。

「あの、ありがとう。それで、その・・・」

「あなた様は今、私に使役されています。マナが必要と感じたら、私を抱きしめて下さい」

「え、ええっ!!!!!」



こうして、僕とミラの共同生活が始まった。






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ジュミラでジュードが精霊(匿名様)
タイトル・プレゼント



大変遅くなりまして、申し訳ありません。
今回はリクエストありがとうございました。
拙い文ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。


2013.2.25


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