Commemoration | ナノ


この世界に絶対なる存在を与えて(ジュミラ)







もしも、僕がマクスウェルじゃなく、普通の人間だったとしたら、みんな、僕と仲良くしてくれただろうか。

ジュードはそんなことを考えた。

自身がマクスウェルだから、こうして一緒に旅をしてくれて、仲良くしてくれて。人との触れ合いが少なかった分、どう接すればいいのかもわからなかった為、人間関係の構築というものに、想像がつかず、ジュードは悩まされていた。

それだけではない。

自身は精霊の主のマクスウェルである。
だから、マクスウェルとして、皆に失望されないようにしなければと、常に気を張っていた。
四大を召喚できなくなってしまった分、証明できるのは何もない。毎日鍛練を続けてきた、己の拳で、身を守り、そして、皆を守ろうと、常に心掛けるようにしていた。

気の休まる暇は、ほとんどないに等しかった。



「もうみんな眠ったぞ」



彼の仲間の一人、ミラが呟く。
彼と初めて会ったあの時から、ミラはジュードと行動を共にしていた。ほんの僅かな時間だけ、一緒に戦い、会話を交わし、彼の大方の性格の予想はついた。真面目で一生懸命で、主のせいか、常に周りを気にする。また、四大と一緒にいたから寂しくなかったと言うが、明らかに寂しがり屋だ。
マクスウェルだと知った時も、最初は驚きを隠せなかった。
好奇心旺盛なミラは、ジュードが自身をマクスウェルだと言った際、ミラはジュードの顔やら腕やら、ペタペタと触り続けた。


「あ、あの…………」


人間と触れ合う機会がまったくなかったわけではなかったのだが、こう触れてくる人は初めてだった為、ジュードは混乱してしまっていた。
最後には、彼女の指が、つんつんと頬を突く。そうしてミラと目を合わせた。
顔が近い。目を離せなかった。きりっとした深紅の瞳。とても綺麗だと思った。睫毛も長い。肌も白くて、艶があって、それに―――――



「どうかしたか、ジュード」

「あああああの、なんでも、ないんだ」

「?そうか。ふむふむ、人間の媒体と言っても、肌の感触も、私達となんら変わりはないんだな」

「う、うん、そう…だよ」




初めてだった。人間の女性にこんなにも動揺したのは。
されたことは大したことなんかじゃないのに、あまりにも彼女が近づいてくるから、どうしたらいいのかわからず、石化してしまった。
後々ゆっくり考えれば、マクスウェルだから、興味を抱いただけなんだ。そう思ったら、少し胸がツキンとしていた。



「ミラは眠らないの?」

「ジュードが起きてるから、私もまだ寝ないよ」



そうなんだ。彼女はいつも、傍にいてくれているのだ。従者のように。ジュードはそうして欲しいとは思っていない。対等に接してくれるのを望んでいる。
だからつい、彼は要らぬ言葉を口走ってしまっていた。



「僕がマクスウェルじゃなかったら、今もこうして一緒にいてくれた?」



声が震えた。言ってしまった後に後悔した。けれどそれは、ずっとモヤモヤして、止まらなくて、周りに、特にミラに対して思っていたことであった。
ミラの返答に怯えたジュードだったが、何を言われても仕方がないと、すぐに切り替え、どこかで諦めていた。



「そんなこと、考えたことなかったな」




ミラがジュードの肩を抱き、ジュードを寄り掛からせる。何が起きたのかわからず、またジュードは混乱した。
次にミラはジュードの頭を何回も撫でた。初めて誰かに頭を撫でられた。マクスウェルだから、大人でなければならないと思っていたジュードには、癒しのひと時となった。なんだろう、この感覚と、ミラの温もりを感じながら、考えた。



「だって、君は君だろう」

「ミラ」

「私は君という人柄に惹かれたと言っても過言ではないな。君がマクスウェルではなくても、私は君と共にいたいと思うよ」



ミラの言葉にありがとうと返す代わりに、ジュードはミラの空いていた手を握り締めた。
ここまで旅を続けてくることができたのは、彼女のお陰と言ってもいい。
皆が、この人が生きているこの世界を、絶対に僕が守ってみせるから。



「本当、ジュードは柔らかいな」



ミラが再びジュードに抱き着き、触り始めた為、ジュードは再び手の行き場を失ってしまった。













――――――――――
ジュミラで立場逆転(匿名様)
タイトル・反転コンタクト

今回はリクエストありがとうございました!
拙い文ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。




2012.1.24


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