Commemoration | ナノ


君の拗ねた横顔(ジュミラ)






『私はマクスウェルなんだぞ』



まだ少し、幼さを残した少女が、こう告げた時、ジュードはどういう反応をすればいいのか、わからなかった。
彼女が四大を召喚しているのを見て、初めて、本当に彼女はマクスウェルなのだと思わされた。

偉大な崇拝な存在だとわかってはいても、ジュードにとって、ミラはまだ子供である。だからジュードは、彼女を子供扱いすることが多かった。
一緒に買い物に出かければ、ミラがお腹を空かせているのがわかった為、近くのレストランでご飯を食べたりした。
ミラは最初は拒否して、我慢していたのだが、ジュードの柔らかな笑みに、ミラは負けて、自身の欲求に従った。
出された食事を見て、ミラは目を輝かせる。そんなミラの様子を見て、ジュードは、この子は本当に不器用な子なんだなと思いながら、頬杖をつき、ミラを見つめる。

視線に気づいたミラは、手にしたフォークをテーブルに置き、料理に手を付けるのをやめた。



「食べないの?先に食べていいんだよ」



ジュードが促すが、ミラはブンブンと首を横に振り続ける。
ミラは内心、恥ずかしいと思っていた。こんな子供じみた姿を彼に晒して、自分だけ先にご飯に手をつけようとするなんて、なんて恥ずかしいんだ。


「ジュードの料理が来るまで、待ってる」

「え、大丈夫だよ、お腹空いてるんでしょ?食べていいんだよ」

「ジュード!」



ミラはテーブルを思い切り叩き、血相を変え立ち上がり、ジュードを睨みつけた。
あまりの凄い音に、周りの客も一斉に二人のテーブルへ視線を向けた。ジュードはちらっと周りの人に目をやったが、顔色一つ変えずに、視線をミラへと戻した。
ジュードが無表情な事に、ミラはまた顔が赤くなる。


「なんで君はいつも、私を子供扱いするんだ、私は、マクスウェルなんだぞ、君より長く生きているし、君より、この世界の事はなんでも知っているんだ」

「うん。それで?」

「私、私は、君にそういう扱いをされるのが、嫌なんだ」



自分はこんなに熱くなっているというのに、ジュードはその逆で、冷静だった。
自分がこんな、周りに注目を浴びるような事をしても、慌てもしない、取り乱しもしない、言葉も、ただ、淡々としていて。
悔しかった。どうすれば、彼に大人として見てもらえるんだろうか。彼みたいな冷静な人になれるのだろう。自分はただ熱く、暴走するばかりで、訴えることくらいしかできない。
この熱は落ち着いているジュードが沈めてくれているというのに。


「僕はどうすればいいの?マクスウェル様。こう言えば、君は満足してくれるの?」

「違う、そういうことじゃなくて……」



ジュードはミラの頭を撫でる。上から顎まで、ゆっくりとした速度で、手を滑らせた。ミラの熱は冷まされていくが、心の中はまた着火され、燃え始めた。



「ここは食事をする所だよ?出された食事が冷める前に食べないと美味しくなくなっちゃうよ」

「…………」



ジュードの対応にこれ以上反論する気力を失い、ミラはそれ以上、言葉を発する事ができなくなってしまう。こういう事ばかりをしているから、彼に子供扱いされるのが直らないままなのか。
ミラは食事を食べ始める。多少冷めてはいたが、その料理はとても美味しくて、ミラの顔はぱあっと明るくなった。



「そう、その顔が見たかったんだよ」



ジュードが幸せそうなミラの顔を見て、そう言った。


「?」

「ミラは確かにマクスウェルだけど、僕にとっては、女の子な事に変わりはないんだ。だから、僕の前では、年相応な女の子の反応をしてくれてもいいんじゃないかなってことだよ」





ジュードがそう言った後、タイミングよく、ジュードの料理が運ばれてきた。ミラはジュードの予想外の言葉に胸を詰まらせる。食事が食べられなくなってしまいそうだった。

これは喜んでいいものなのだろうか。
顔がまた熱くなっているのはきっと、彼の出来立ての料理の湯気が自分に当たっているからだろう。
そう思いたかった。






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ジュミラで年齢逆転(匿名様)
タイトル・Evergreen


今回はリクエストありがとうございました!
拙い文ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。


2012.1.9


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