Commemoration | ナノ


※リセイ ヲ ヤキキレ(晶苹)







君が冠葉が、どういう奴か知らないから、簡単に近づいているかもしれないけど。
僕が知る限りの冠葉は、女性関係が非常にだらしないんだ。今まであまり口を出さずにきたつもりだったけれど、さすがに今回だけは、見過ごすわけには、いかない。


学校の授業を終えた晶馬は、今日の夕食の食材を買って帰ろうと、スーパーマーケットに立ち寄った。
今日は陽毬の代わりに、自分が料理を作ろうと思い、何にしようかと考えながら、食材売場をうろうろとしていた。

そんな中、晶馬は、そこで意外な人物を見かける。それは兄である冠葉だった。


(冠葉……?なんでこんなとこに)


冠葉がこういう場所にいるのには驚いたのだが、ちょうどいいやと思った晶馬は、冠葉の所へ行こうとした。
しかし、彼の目にはまた、意外な人物が入り込んでくる。


「お、荻野目さん……?」


冠葉と一緒にいるのは、苹果だった。冠葉がかごを持ち、苹果が食材を選びながら、かごへと、どんどん入れていく。
どうして二人が一緒にいるんだろう。なんとなく声をかけづらくなり、晶馬はその場に立ち尽くした。
本来ならば、自分がいるはずの定位置には、冠葉がいる。それもなんだが、胸がムカムカして落ち着かなかった。苹果も苹果だ。冠葉の女の付き合い方のだらしなさをわかっていない。
というか、いつの間に、二人は買い物を一緒にするほど、仲良くなってしまっているんだ。
苹果の彼氏は、自分であるのに。まさかの浮気か?
自分よりも冠葉の方が女心をわかってくれるとか、そんなことを苹果に言われそうで怖い。

そんなことはないと言いたい。自分がどれだけ、苹果の事を大事にしてるのか、彼女に言いたい。

そうこうしてる間に、冠葉と苹果は、食材売場を移動し、レジへと向かう。
晶馬も後を追いかけて、二人の後をつけていった。これではストーカーだと思ったのだが、仕方がない。

しばらく二人の後をつけていくと、向かった先は苹果のマンションだった。冠葉と苹果は、中へと入り、消えていった。


「どういうことだよ……」


晶馬は中に入り込んでいく勇気がなくなり、ふと上を見上げていた。
なんというか、信じられない気持ちでいっぱいになっていた。冠葉が苹果を口説き落としたのかとか、自分に幻滅でもした苹果が、冠葉に惹かれていたのか、考えては、嫌なことしか思い浮かばない。
自分が苹果に何か悪い事をしたか、考えてみてもわからない。

かといえ、見て見ぬフリをすることもできない。


「あ」


そんな晶馬に、一通のメールが届く。差出人は冠葉だった。


「冠葉……」


晶馬は一瞬ムッとした。冠葉からのメールを読むのが、なんとなく怖い。
恐る恐るメールに目を通して見る。


『今日遅くなる。あ、あと、陽毬も少し帰りが遅くなるって。陽毬は俺が迎えに行くから』


なるほど、そういうことか。
晶馬は携帯を握り締める。苹果に連絡を取ってみようか。もしもこれで電話に出てもらえなかったら、確定か。出てもらえても嘘をつかれたらどうするべきか。こんなのは嫌だ。今は冠葉にも苹果にも疑いの目を向ける事しかできない。自分はこんなにも醜い人間だったのか。

苹果に電話をかける直前の所で、晶馬は指を止める。


「とりあえず、夕飯作らなきゃな」


晶馬は苹果のマンションの前から、ようやく足を動かして歩きだした。












家に帰宅したものの、晶馬は夕飯を作る気にはなれずに、畳の上でごろごろしていた。
冠葉と苹果が何をしているのか、気になって気になって、消そうとしてもなくならない。

晶馬君と呼ぶ苹果の顔が、目を閉じた晶馬に映り、晶馬は苹果をどれだけ好いているのか、わかってしまった。
苹果は自分のたったひとりの人。大切な人。大好きな人。他の誰にも触らせたくない。


「晶馬くーん」


ついに考えすぎて、幻聴まで聞こえるようになってしまったか。晶馬は苦笑する。


「晶馬くーん?」


これは幻聴などではない。確かに本物の苹果の声。晶馬は勢いよく飛び起きた。
それでも、足取りは重かった。苹果とちゃんと話せるかどうかが、わからなかったからだ。
晶馬は引き戸を開ける。そこには何かを手にしながらやってきた苹果だった。
苹果はにこにこしていたが、晶馬はその逆だ。


「何……?」

「えっとね、これ」


苹果は晶馬に何かを差し出そうとした。
そんな苹果の腕を引き、苹果を中に入れて、晶馬は引き戸を閉める。
苹果はびっくりした。こんなことは初めてだったからだ。晶馬の顔を見上げた苹果。晶馬は苹果の唇を奪う。


「ん、んんっ……」


激しいキスに、苹果の力が抜けていく。手に掴んでいた包み物も、地に落ちてしまった。


「しょ、晶馬く………やっ……」


苹果の腰を持ち、自分達の立ち位置を変える。その後、苹果を押し倒して、彼女の腰の上に晶馬は座り込んだ。
上着を脱ぎ、ネクタイを緩め、苹果を見下ろす。苹果が怯えた目で自分を見ている。そんなの知らない。苹果は自分の彼女だ。


「どうしたの……んっ」

「逃がさない、どこにも行かせない、僕以外の誰かに行かせないようにさせる」


苹果のスカートの間に手を滑らせて、苹果を思いのままに操る晶馬。
まさかこんな事されるとは考えておらず、苹果は体が震えた。だが、晶馬にこういうことをされるのは嫌ではない。晶馬が望むなら、もっともっと、めちゃくちゃにしてもらって構わない。

晶馬の開けた姿にも苹果は惚れた。シャツの間から覗く素肌が苹果にストライクし、苹果は晶馬に抱き着いた。


「荻野目さん……」


晶馬は苹果の半裸の姿を見て、卒倒しそうになった。自分がこんなことをしてしまったか。ごめんなさいと謝りそうになった。


「晶馬君、好き」

「か、冠葉なんかより、全然ダメだよ、僕は」

「冠葉君……?あ、もしかして晶馬君、私と冠葉君が一緒にいるとこ、見たの?」

「うん……ごめん」

「なんだ、そうなんだ、私が浮気したとでも思った?」



苹果は晶馬の手を掴み、自身の胸に触れさせた。柔らかな感触に晶馬は目を見開いた。


「こんなこと、他の男子にはしないんだから。晶馬君だけなんだよ。今だって、ド、ドキドキしてるんだから」

「うん、僕もだよ」



晶馬も苹果に胸を触らせた。指先から晶馬の心臓の音が伝わる。


「じゃあ責任とらなくちゃ。まさかここまでして終わりなんて、私、そんなの嫌だからね」




苹果の言葉を皮切りにし、晶馬は行為の続きを始めた。
苹果の胸を口に含んでしゃぶり、下着の間に手を入れては、苹果の中に指を入れる。晶馬にされるひとつひとつに、苹果は嬉しくて、快感も増していった。
冠葉から晶馬の話をたくさん苹果は聞いた。あいつは真面目すぎるから、君は苦労すると思うからと言われた。そうなんだろうと思っていた。だが、自分と冠葉が一緒にいた所を晶馬に見られた事で、晶馬に襲われた。

ヤキモチを妬いてくれたから、だよね。
なら、それはそれでよかったかもしれない。


「やっ……あぁっ」

「感じやすいんだね、荻野目さん」

「ダメ、吸わないで、ダメ……っ、あぁっ」


苹果から流れる蜜を晶馬は口に吸い込んだ。それはダメなのやばいのと、苹果は訴えたが、晶馬は聞かない。吸っても吸っても溢れてくるのだから。


「欲しい、よ、晶馬君、いっぱいにして」


晶馬はその言葉通り、苹果の中を自分で支配する。すんなりと入って、腰を持ち上げた。苹果が気持ちいいと連呼して、中を凝縮してくる。締め付けられると、晶馬はやばかったのだが、それでも突きたかった。自分から離れられないように、苹果に自分を覚えてもらおうと思っていた。



「っ……荻野目さ………覚えて……僕を……」

「あっああぁっ、晶馬く、晶馬君……」


苹果の声が谺のようだ。
晶馬は苹果の体に、自身をしっかりと刻み込み、味を感覚をしっかりと染み込ませた。








「晶馬君の為に作ったんだよ」


苹果が持ってきたのは、ロールキャベツ。晶馬の味を覚えようとしていた苹果が、晶馬の事を聞くのと同時に冠葉に頼み込んだんだと、晶馬に話す。


「そういうことかよ」

「晶馬君にヤキモチ妬いてもらえて、嬉しかったな。冠葉君のおかげだね」

「いやでも、冠葉は危ないから、本当、二人では会わないでほしいかも…勿論、冠葉だけじゃなくってさ」

「冠葉君の言う通りだね」

「え、何、どういう……」

「内緒。」





晶馬は苹果の作ったロールキャベツを口に運んだ。
それは確かに高倉家のロールキャベツの味。そして仲直りの証の味だった。






――――――――――
晶苹で晶馬がヤキモチを妬く話。できたら裏(匿名様)
タイトル・Evergreen

これからもマイペースに晶苹を愛でていきたいなと思います。
この度はリクエストありがとうございました!拙い文ですが楽しんでいただけると嬉しいです。


2012.1.3


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