◎ 幸せな今をありがとう
ある日。
とてもぽかぽかした草原の上で、ひなたぼっこをしていたアルヴィンとレイア。
レイアが思い切り走るから、らしくもないことに付き合って、走り回って、草の上に寝そべった。
こんな時は滅多にないから。
「うー、気持ちいいね、アルヴィン君」
「・・・そうだな。本当、こんなのいつぶりだか・・・」
こんなことをしたのは、本当にいつぶりだろう。
遠すぎて、思い出すことができない。
故郷の記憶がだんだん薄れてきているのだろうか。
それとも、思い出したくないから?
(・・・・・・・・・)
お互い黙り込んでいたのだが、ここでいつもなら話し出すはずのレイアの声が、聞こえない。
「…レイア?」
アルヴィンは起き上がって、レイアの顔を覗きこんだ。
「ZZZ…」
いつのまにか眠ってしまっていたレイア。
アルヴィンはそんな彼女をじっと見つめていた。
とても気持ちよさそうに眠るレイア。
いつも旅先で何度も見てきた。
一度寝るとなかなか目覚めない彼女。
だけど、レイアの寝顔を見ていると、とても心地よい気持ちになるアルヴィン。
「…いつもどんな夢みてんだか。」
つぶやき、彼女の頬に触れる。
「俺も・・・同じことされたんかね?」
その仕草をしてそう思ってしまったアルヴィン。
そして自分も、彼女の隣で眠る。
できれば、これからもずっと一緒に…
そんなことを頭の片隅で考えながら。
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