拍手 | ナノ
 ロイヤルミルクティー



新婚さん話。






最初は、どうなるんだろう?とか思って、すごい不安になったっけ。
結婚という意味を、あんまり深く考えたことがなくて。
ただ同じ家の中で、一緒に暮らしているだけなんじゃないかって、そう思ってた。

でも違った。

一緒にいるだけで、ドキドキして、苦しくて、これから先も、何年先もずっと、こんな思いをする人と一緒にいなければならないんだって考えたら、とてもじゃないけど、息が苦しくて詰まりそうになっていた。
恥ずかしくて、恥ずかしすぎて、まるで自分が、違う自分になっちゃうような気がして。

最初は慣れだって言われたから、本当?って思ったけど、そうだった。
わたしの緊張を解すために。
そうさせてくれたのは他でもない、彼なのだけど。


「……どうしたの?」

レイアはリビングに座って、紅茶を飲んでいた。そんな彼女の傍に、アルヴィンが近づいてきて。レイアの背後に回り込み、そして深く腰掛けた。

「いや。こうしたくてさ」

アルヴィンはそう言うと、レイアをぎゅうっと、抱きしめる。
この家は他でもない、俺達だけの聖域の場所。誰にも邪魔されない場所。
そして君と、同じ性を名乗れるようになった、この喜びを。

「……ねえ、奥さん」

耳元でアルヴィンは囁く。レイアはそれが苦手だった。
鼓膜全体に響き渡るその声に、何度身が持たなくなったことか。
彼と結婚して一ヶ月。
慣れるものは慣れたかもしれないけど、慣れないものは、やはり慣れなかった。


「…っ、奥さんって言わないでよ・・・」
「違うの?今のレイアは、俺の何……?」


びくびくっ、とまた、レイアは震える。


「わ、わわたしはっ……あなたのの………つ、妻……ですっ!」


言い慣れない言葉にまた、レイアの顔は真っ赤に染まっていく。レイアがそう言った時、アルヴィンがどんな優しい微笑みをしていたのか、レイアは気づかない。


「ありがとな」
「っ……なに………」
「…嬉しいんだよ、本当に」



そう言うとアルヴィンは、軽々とレイアをひょいっと抱き上げて、二人だけの聖域へと連れ出した。


「な、え、アルヴィン……!!?き、今日も……なの?!!」
「…嫌?」
「……ば、聞かないでよ……バカ」








二人の甘い夜は続く。














prev|next

back

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -