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 信じるものが同じなら






二人の家にはアルバムがたくさんあった。
最初に言い出したのはレイアで。
思い出なんか必要ないとアルヴィンは言った。

形にしたところで、なんの意味があるのだと。

頭に残しておけば、問題がないだろう。




「でもわたしは、残しておきたいんだよ」




一眼レフのカメラを手にしては、レイアはパシャっとレンズを彼に向けて、写真を撮り続けた。

撮られ馴れていない彼は、一番初めは、目線すら合わせてくれなかった。
固い顔をし続けた。

一人が嫌なら、一緒に写ろうとレイアが促して、セルフタイマーを用いて、レイアはアルヴィンと写真に写る。



「ほら、いい顔してるじゃん」



出来上がった写真をアルヴィンは見た。
レイアが隣にいるせいだろうか、自然な笑顔が、この写真から滲み出ている。

だが、恥ずかしすぎて、ずっと見ることは敵わなかった。




「ふふふーん♪」



その写真を大事そうに、そして嬉しそうに、レイアは抱きしめていた。



「そんなに嬉しいものなのか?」

「嬉しいよ、だって、初めてのツーショット写真じゃん」




やはり自分には理解できるはずがない。
隣に自分がいるのだから、別に不必要なのではないのだろうか。



「わかってもらえなくても、別にいいんだから」



たとえ彼にわかってもらえなくとも、絶対にいつか、わかってもらえる時がくると、レイアは信じていた。

撮り続けてきた写真は、百枚を超えているだろう。
アルバムがどんどん重なっていく。


その大量のアルバムを、アルヴィンは手に持ち、ぺらぺらとページをめくっていく。

ああ、こんなこともあったっけと、彼は思い出に更ける。
こんなにたくさんの彼女との思い出があり、振り返っては、はにかんだ。

彼女と過ごした時間は何にも変えられない。
こういうことかとアルヴィンは初めて実感する。


そして、また違うアルバムを手にして、ページをめくると、それは全部、自分だけしか写っていない写真だった。
いつの間にこんなに撮り溜めていたのだろう。
まったく気づかなかった。

これは本気で照れる。


レイアから見た自分は、このように見えているのか。喜怒哀楽のすべてを撮り逃さずに、彼女は残してくれていた。


アルヴィンはアルバムの傍らにあった、一眼レフカメラを手にし、ソファーで横になって眠っているレイアの姿にピントを合わせ、シャッターを押した。




「ファインダーから覗いた、俺が見たレイア…か」




そうして彼は、再びシャッターを押した。









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タイトル・Evergreen




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