言葉を失った夜
時間が過ぎ、外には木枯らしの風が吹き荒れる。
ほんのりと明かりを照らしていても、あまりの風の強さに、窓がガタガタと揺れ動き続けた。
その音を耳にしたミラが、ふと目を覚ます。
再び、風の強さで、窓がガタガタと揺れた。風も悲鳴のように吹き続けた。たったそれだけの事なのに、ミラの体全身は、背筋がぞくっとし、体が凍りのように固まっていく。
震える体を懸命に押さえ付けた。それでも震えが止まらなかった。何故だろうか。とても怖くて、自身の隣で眠っている彼、ジュードの腕にミラはしがみついた。
「……ん、ミラ………どうしたの?」
ジュードを起こしてしまった事に申し訳ないと思ったが、ミラはジュードの腕にしがみついたまま動こうとはしなかった。まるで子供のように。
様子がおかしいことに、ジュードはすぐに気がついた。ミラの細い腕と長い指が、ジュードの右腕にしっかりと絡み付いている。
そこからは、ぶるぶると震えている彼女を確認することもできた。
ジュードは体を動かし、ミラを下にし、彼女の体の上に覆い被さった。
ミラは腕を離し、ジュードの背中に手を回し、またしっかりと抱き着いていた。
「大丈夫?」
「……ああ、すまない。急に怖くなってしまってな、こんなこと今までなかったのだが」
「……そっか。じゃあ、ミラが落ち着くまで、こうしててあげるね」
「……ありがとう、ジュード」
あれだけ気になっていた、外の風の音も、窓の音も、もう怖いとは思わなくなり、安堵したミラに心地好い睡魔が訪れる。
そんなミラを見たジュードが、頬を緩ませてしまったのも、無理はなかった。
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タイトル・反転コンタクト
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