愛される才能
ジュードは年上にも年下にも好かれる。目上の人にはその相応な態度を取り、年下の子には凄く可愛がりながら、優しく、時に厳しく接する。
傍から見れば、器用に渡り歩きながら、生きているように見える。彼が苦手なのは、同年代だ。素の自分を出せる人達に囲まれているというのに、彼は唯一のその年代が苦手だった。
ジュードを見ては、周りは羨ましがり、また妬みを買うことも少なくはない。
だから、ジュードは、そんな自分自身に対しては、なんて損な性格をしているんだろうなと、半ば笑うしかなかった。
自分は何も悪いことなどしていないのに、ずるいとか、買い被っているとか、どうしてこういう言葉を浴びてしまうんだろう。それならば、自分はどうすればいいんだろう。
そうなるのが面倒くさく、特定の人以外とは関わりを持たなくなっていた。それがまた、まだ子供なジュードを少しずつ大人びさせていく。
特定の人が、自分をわかってくれれば、いい。
浅く広い関係よりも、狭く深い関係の方がいい。自分をわかってくれている人達の傍にいれば、必要としてくれているから、傷つく必要もない。
「なるほど、だからジュードは、いろいろ我慢しているのか」
自身の思いの丈を話せるようになったジュードが、ミラへと伝えた時に、ミラはあっさりと答えてしまう。
「ならば、欲しいものを欲しいとも言えず、嫌われてもいいやと関わるのを諦めたりしていたんだろう。ならばジュードが、こうして私に固執するのもおかしくないな」
「固執って」
「ああすまない、この方がわかりやすいのかと思って」
ジュードはわかっている。彼女が悪気があって、言ったわけではないのだと。
ミラと一緒にイル・ファンを出た時、最初はどうしようと思っていたが、どこかでほっとしていた自分がいた。重罪人やら指名手配やら、重いものがのしかかっていたとしても、自然とミラの手をとることができた。
少し物分かりのいい性格をしていてよかった。そうでなければ、男のくせに絶望しては、泣いていたかもしれない。
「今はミラがいなくなったって、平気だよ」
「ほお、そうか、じゃあ、ここでお別れだな」
「えっ、ちょっと待って、そんな急に?」
「今でも後でも変わりないだろう」
「……ごめん、僕が悪かったよ」
嘘だよ、行かないでよと、ジュードはミラの手を掴む。
ミラはジュードがムキになって、そう言ってきたのだとわかっていたから、ここでさよならと言った。予想通りに彼は慌てた。本当に可愛い奴だな。
「もっと欲張ったらどうだ」
「欲張る……」
「私の傍にいたいと駄々をこねたんだから、できないと言わせないぞ」
「だ、駄々なんかこねてないってば!!!」
くすっと微笑みを返したミラに抱きしめられた。
細い体の中の大きな胸のふくらみが、ジュードに当たる。
ダメだよ、離してとミラに言ってみたが、ジュードの反応を面白がっているミラが要望に応えることはなかった。
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タイトル・Evergreen
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