小さな欠壊(ジュ+アル)
ジュードの年齢を考えると、そういうことを考えたりしないのか、アルヴィンは疑問を覚えた。
そういう自分も、ジュードと同じ時期に、女の子の事を考える余裕もなかったのだが、ジュードは、思春期の真っ只中にいるし、しかも彼女は、あのミラだ。
そういう事を考えたりしないのか、アルヴィンはジュードに詰め寄ったりしてみた。
「なあ青少年、おたく、ぶっちゃけさ、ミラに触れたいとか思ったりしないのか?」
いきなり何を言い出すんだと、ジュードはアルヴィンの言葉に動揺し、口に含んでいたコーヒーを、少しばかり吹き出しては、むせた。
この彼の動揺具合。図星なんじゃないかと思った。これはもう少し攻めれば、面白い話が聞けるのではないか。アルヴィンは顔をニヤつかせながら、更に問い詰めてみる。
「お、図星か」
「そ、そんなこと聞いてどうするのさ」
「どうもしねえし。ただ、気になるからだ。で、どうなんだよ?」
別に特に何もない、ジュードはミラを思い浮かべてはそう思った。
ミラは特別だ。自身が変われることができたのは、ミラのおかげだ。
ミラと一緒にいて鼓動はなるし、一緒にいられるだけで、それだけでよかったから、アルヴィンの質問に返せるものは何もなかった。
「僕はっ……そんなつもりでミラに接したりしてない」
「本当かよ?!おたくの年齢からして、今が一番そういう……バカかおたくは」
「だって本当なんだよ、僕はミラと一緒にいれればいいんだって」
自分とアルヴィンを一緒にしないでよ、とジュードは思った。だから彼はムキになった。そんなジュードの様子を見ては、アルヴィンは信じられないという顔をしている。
「そんな顔しなくてもいいじゃないか」
「えー……だってよ、おたく、本当に男子か?」
「失礼だよアルヴィン」
確かに自分は、おかしいのかもしれない。
それでも、ジュードは、ミラを想うだけで満足していた。乙女かと突っ込みそうにもなったのだが、ただ、そうだった。
それは、ジュードの求めているものが、心の拠り所だったからだ。
精神的な繋がりを欲していた彼は、それを得たことで、心が満足していた。
「つまんね」
「ごめんね、聞きたい情報がなくって」
「おたくはそうでも、ミラはどうだろな」
「ミラ?」
「ミラは、お前を求めてるかもしれないってこと」
そうか、そんなこと、考えた事がなかったと、ジュードは腕を組んだ。
ミラはもしかしたら、自分にそれ以上の事を望んでいるのかもしれない、自分には言わないでいるだけなのかもしれない。
「本当、おたくは優等生なんだから」
アルヴィンの言葉もジュードの耳には入らない。
彼は思っていた。もしも彼女が望むなら、自分はそれに応えなければならない。
そして思い知る。彼女の肌に触れる時が来た時、自身はちゃんとできるのか。ミラを満足させてあげることができるのか、ミラの裸を目にした時、自身は余裕のあるそぶりを見せる事ができるのか。
「アルヴィンのせいだよ、ミラの事を考えちゃうのが止まらなくなったじゃないか」
「お、そうかそうか♪」
次にミラに会った時、少しだけ接し方を変えてみよう。
どうなっても、僕は知らない。
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タイトル・Evergreen
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