What a wonderful love
ミラにとっては、初めての経験だった。
官能的な小説も読んだことはある。そういう部分こそ、隠す時は隠され、オープンな時はオープンに表現されている。
お互いに裸になる必要がどうしてあるのだろう。
確かに動物は服など来ていない。ブウサギもラピッグもそうだ。じゃれあっているのは、何度も目にしてきたつもりだ。
よくよく考えれば、人間だって動物だ。
裸になり、肌を重ね合わせたいと思う気持ちが生まれてもおかしくない。
それはジュードとしか、したくないと思った。彼はもう自分の一部。だから、初めて肌を重ね合った時、何も違和感を感じなかった。
幸福こそ感じることはできたが、ジュードという獣に捕われてしまっていたのも事実で、自分は彼の獲物だ。獲物を射止める為には、どんな手段でも使う。それが王者の証。
けれど自分にとっても、ジュードは獲物だった。
彼の体に絡みついた時に、捕まえて、捕まえて、私から離れられないようにしてやろうと、そんな感情が生まれる程に。
他の女性に目が行く、それが男というものだろう。本で読んだ。
ジュードは嘘がつけない性格。もしも仮に他の女性に心が惹かれてしまったとしても、それはすぐに、態度として出るだろう。それは嫌だった。
ダメだ、ジュード。この女のどこがいいんだ。そんなことを言いながら、ジュードを責め続けてしまう。
自分がこんなにも愛した男性が、他の女に触れる、自分を抱いた大好きな手で、腕で、抱きしめる。想像しただけで寒気がする。
ジュードの事を信用していないわけではない、それでも、性別の違いや人の心には勝てない。
自分は難しく考えすぎているのだろうか?
「む…っ」
「眉間にシワ。良くないよ」
ジュードが人差し指で、ミラの眉間をぐりぐりと回す。
拍子に目を閉じたミラは、うっすらと目を開ける、飛び込むのは彼の優しい微笑み。その瞬間に、ミラの心はきゅっと縮こまりすごく切なくて堪らなくなった。
彼に抱きしめられる感覚を味わいたくて、小声でジュードに抱きしめてと呟いた。そこでミラは完全に目を開ける。
またジュードは、先程と同じ微笑みを見せて、彼女を抱きしめて。
絶対誰にも渡すものか。
そんな彼女の思いが、腕に力一杯に込められた。
「ミラ、痛い」
その迫力にジュードは驚いた。噛み付かれるかと思った。
それはまるで獣のようだった。
← t
op
→