ジュード×ミラ | ナノ


その感情を何と呼ぶ






一度、別世界に旅立ってしまったら、現実に戻ってくるのは、容易ではない。


話しかけても上の空で、目の前にあることだけに、ひたすら没頭する。

こればかりは、癖なのだろうか、直らない。夢中に、真剣になっているのは、はたからみて、しっかりと確認はできた。

そしてそんなジュードを、ミラは度々、目撃していた。

精霊に関しての学会のレポート、半々、医学にかじりついている為、医学に関する資料、更に頼まれたら断れない性格が災いし、協力を頼まれた資料の作成。

ジュードのデスクの上は、いつもこんもりと溜まった状態がほとんど。


手伝ってあげたいのは山々だったが、こういう資料の細々した文字を見ると、なんだか眩暈がする。本とはまた違う。
自分だったら、数時間で息が詰まって、限界を向かえてしまうだろう。


何度も、ジュードの周りを、うろうろとした。

座っては、本を読み、また立ち上がっては、デスクに拘束された状態のジュードの傍に近づき、屈み、デスクの上に顎を乗せた。

こんなに近くにいるのに、ジュードはミラの方に視線すら、向けてくれない。ずっと資料に目を通している。


それなら、いっそのこと、資料を全部、デスクから落としてしまおうか――――――――――

むくむくと膨れ上がる悪戯心。





「ミラ」



集中していたとはいえ、ジュードがミラを忘れていたわけではなくて。




「もしかして、構ってほしいの?」






ミラは、ジュードのその言葉を、ずっと待っていた。








――――――
タイトル・異邦人


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