スイート
窓から風が入ってくる。
テーブルの上で、ミラは気持ち良さそうに、眠りについていた。
回りには、精霊に関しての本が散らばっている。
「……ミラ?」
下から呼んでも、なんの反応もなかったミラを心配したジュードが、彼女の元へと現れた。
近くに寄っても、ミラが起きる気配はない。
よっぽど、深い眠りについているのだろう。
(……間近で久しぶりに見た…眠っている所)
滅多にない出来事だったから、彼は彼女を起こすのを止めた。
そして、顔を眺める。
「綺麗…だな………」
人形みたいに、整った顔をしている。
白くて、綺麗な肌。長い睫毛。潤いのある、唇。
それには思わず、触ってみたくなってしまう。
「ん…………」
そんな時、ミラが目を覚ます。目を擦りながら、思い切り背伸びをした。
「やっと起きた」
「……ジュード?なんで……」
「呼んでもこないから、気になって来てみたんだ」
ジュードは立ち上がり、周りに散らばっていた、精霊に関する本を片付け始めた。
「すまない、気持ち良かったから……ついな……」
「徹夜していたんでしょう?この状態だからね」
「ああ。楽しくて、な」
先程まで閉じていた、瞳。やはり綺麗で、美しい。寝顔も、笑顔も。
「……どうかしたのか?」
「…ううん、なんでもない………」
ついつい彼女に見とれてしまっていたジュードは、ミラに不自然に思われてしまっていないかどうかを気にした。
けれど、ミラのきょとんとした表情を見て、安堵した。
いつか、この指で…触れてみたい。
彼女に。そう、思った。
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