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かたむいたシーソー(アルレイ)






ほんのりとした、柔らかなオレンジ色のライトが、6畳ある寝室を照らしている。
アルヴィンの住んでいる部屋は、1LDKの賃貸マンション。最初は住めればどんなとこでもいいやと思っていたが、やはり寝室とリビングは別がいいよなと思い、ここに決めた。
自立して生きていく、生活費も家賃もすべて自分で払って賄っていく。
これができてこそ、一人前の大人になったんだとそう思えると思った。

ある時、レイアがアルヴィンの部屋を訪れてから、レイアはアルヴィンの部屋に出入りする機会が増えた。
何故かと言うと、レイアの住んでいる場所より、アルヴィンの住んでいる所の方が職場から近いから。校了が間に合わず終電を逃した時、アルヴィンに連絡をしては、家に泊めてもらったりしていて。
危機感のなさに、アルヴィンは息をつく。こいつは俺の事をなんだと思ってるんだと。男女分け隔てない所がレイアの長所だと思うけど、頭を抱える事も少なくはない。

「ふう、疲れた疲れた」

深夜に帰宅したアルヴィンは、上着をソファーの上に投げ捨てて、ネクタイを緩めた。
そして着替えようと寝室を開けた時、彼はベッドの上に横になって眠っているレイアの姿を見つけた。

「・・・マジか」

いつもならGHSに連絡が入ってくるのだが、今日は連絡がなかった。確かに合鍵を渡しているから、いつ来てもおかしいことは、何もないけれど。

「おかえり」

布団の隙間から、レイアがひょっこり顔を出す。

「ただいま・・・って、びっくりさせんなよ」
「連絡しようと思ったんだけど、GHSの電源切れちゃったの」
「そういうことね」
「ごめん、疲れてるよね」
「何を今更」

アルヴィンは寝室の扉を閉め、オレンジ色の仄かな灯りを作り出しては、レイアの傍に近づき、腰を落とした。
くすっとレイアは微笑んだ。今日は校了も何もない。ただ、アルヴィンに会いたかったから、ここに来た。
アルヴィンと話がしたかったから、GHSではなく、直接話がしたかったから。

「顔、見たくなってさ」
「え?」
「たまにね、アルヴィンにすっごく会いたくなる時があるんだ。ただ顔が見たくなって、そうするだけでいいんだ」

レイアもアルヴィンの横に座り、胸の中から溢れでてくる言葉を伝えた。
それを聞いたアルヴィンは、唇を噛み締めると同時に、レイアの腕を掴んで押し倒した。

「アルヴィン・・・」
「っとに、いい加減にしてくれって」

え。嘘、どうしよう、何がいったいどうなってるのと、心の中はざわついていたけれど、体が動かない。
見えるのは、自分を見つめるアルヴィンの姿。

「そういうこと、言うなよ。抑えが効かなくなんだろ」
「抑え?」
「レイアが家に来て、二人きりになる度に、手を出すのを我慢してたって言ってんの!本当、俺はそんなに安心できる奴だと思ってたのか、それはそれで嬉しいけど」

男の人。そんなのレイアはわかってるつもりだった。だけどアルヴィンだから、そんなこと全然ないから大丈夫だって、そう思っていた。最初に泊まった時も、レイアなりにはかなり勇気を振り絞って連絡をしたのだが、あっさりとして普通に泊めてくれたし、何もなかったし、それ以降もそうだったし。
今、アルヴィンにこうされて、そうか、やっぱりそうだったんだと、納得した自分もいて。

「だからわたし、アルヴィンの事、好きなんだよね」
「・・・!」
「ありがとう。ごめんね。アルヴィン優しいから、わたし、甘えちゃってた」

そう呟いたレイアが、瞼を閉じる。
これはどういう意味なのか。いいということでいいのだろうか。
恐る恐るレイアに顔を近づけたアルヴィンは、そのままそっと唇を重ねた。
抵抗も何もない。唇を離して少しだけ躊躇った。本当にいいんだよなと。

「いいん・・・だよ!」

自分が躊躇ったのを悟ってか、レイアが少しだけ恥ずかしそうにそう答えた。

「俺だって、レイアが家に来るの、楽しみにしてんだ、会いたいのは、俺も同じ。」
「ちょ、それ、今言う?」
「恥ずかしくなった?大丈夫だって、すぐになくなる」


ネクタイをほどいたアルヴィンが、再びレイアに唇を重ねる。
らしくないほど緊張してるのはわかっているが、それはレイアも同じようにだろう。







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タイトル・反転コンタクト

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