落ち着こうとしても。
そうすることが、無理だったりするんです。
「ん………………」
すやすやと寝息をたてているミラ。
(……僕が…もたないよ………)
そんなミラをよそに、ジュードは身動きがとれない状況に陥っていた。
ジュードがミラをじっと見ている時に、寝呆けたミラが、ジュードの腕を引っ張り、抱きついたのだ。
ぎゅっと、甘えるように抱きつくミラに、ジュードはどうすることもできずにいる。
ベッドの上。寝そべるミラ。
その上に覆いかぶさってる、ジュード。
ふんわりと、いい香りがする。彼女の、匂い。
包まれているような感じがして、こうしていたいと思う自分もいたし、ぐらつく理性に耐えられるかわからない自分もいる。
純粋な彼女が、こういう時、恨めしかったりする。
腕も動かせなくて、何もできないのは事実。
我慢するしかない。実際は耐えるのも辛かったり。
「ジ………ュ…ド……」
目が覚めたのか?と思ったのだが、ただの寝言だというのが、寝息からわかった。
「僕の夢………見てるの………?」
どんな夢なんだろう?
僕の名前を呼ぶなんて。
こんなにも、ドキドキや安らぎをくれるのは彼女しかいないんだ。
そう、実感した。
「ふ………わあぁ〜………」
翌朝。
目を覚ますミラ。
「ん…………?!」
自身の体のこの重み。
顔を横に向けると、ジュードの顔がすぐ近くにあった。
「っ………!!!」
ミラの動きに反応したジュードが、ゆっくりと目を起こす。
上にあるジュードの重みに、ミラは動くことが出来ない。
「ジュード……驚いた……君がまさか上にいるとは」
「やっぱり覚えてないんだね。ミラが先にしてきたんだよ」
「……そうなのか…?」
「そうだよ」
ジュードの首もとに回していた腕を見て、ミラは確かにそうだと頷いて、ぱっと腕を離す。
「やっぱり、悪くないな。君の重みは」
「無意識だとしても、僕は嬉しかったよ。で、どんな夢見てたの?僕の名前を呼んでたね」
その言葉に頷いたミラは、なんだかとても幸せそうな顔をしていた。
そんなミラを見て、ジュードはますます、彼女がどんな夢を見ていたのか、知りたくなった。
「教えて?」
「さて、どうしたものかな」
「教えてくれるまで、僕ここから動かないよ?そんなミラ見たら、気になって仕方がなくなっちゃったから………」
ミラの顔の横に、顔を近付けて、そのままジュードは動かなくなった。
彼の呼吸が間近に聞こえてきて、それにまた安堵する。
だってまさか、夢が現実になってるなんて。
目が覚めたとき、まだ夢の中にいるんだと思ってた。でも、この温かさは現実だった。
「ジュード」
「うん」
「君が今みたいに、私の隣にいる夢を見たんだ」
私の名前を呼んで、私の傍にいてくれて。
それが、とてもとても嬉しくて。
私は、ジュードに抱きついていたんだ。
夢の内容を言ったら、ジュードは更に体に体重をかけて、私の上に乗っかった。
「ジュード……」
「知ってる?ミラ。夢は自分がしてほしいこと、考えてることを見るんだよ」
「……………?」
「だから、してあげる」
ジュードの重みが嬉しかったのか、ミラは何も言わずに、そのままジュードに身を任せたのだった。
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タイトル・反転コンタクト
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