次にミラと再会できた時には、もう、いろいろと、遠慮しないと決めていた。
まだ幼いと、そう言われればそれまでだが、次にいつ会えるかもわからない、そのような状況の中で、自らの気持ちを押し込んで、ミラと接する事など、できるはずがなかった。
ふと、ミラの方に目を向けた時、ミラはいつも、安心したような顔をしていて。それが嬉しくもあり、淋しくもあった。
それがまるで、『私が見届けるまでもない、もう大丈夫だな』と言っているかのようで。
「こちらに来てから、私は君に怒鳴られてばかりだな」
普段は温厚であるジュードが、自分に向けて、感情をよくぶつけてくるようになった。
その気迫に最初は驚いていたのだが、こういうジュードを見れたことが、ミラにとってはとても嬉しいものだった。
少し会わない間に変わらないものもあれば、こうして変わったものもある。やはり人間とは面白い。
「別に怒鳴ってるつもりは」
「いや、いいんだ。なかなか新鮮だったぞ」
「…ほら、また、そういう顔する」
「そういう顔?」
「……ううん、なんでもない」
口を滑らせたと思ったジュードは、そのまま首を横に振る。
こんなことを言うのは、あまりよくない。別にミラが悪いわけではないのだから。
「……わかった。何も聞かない」
ミラが口元だけでなく、目も閉じて、微笑んでみせた。
それは滅多に見られないもの。ミラが自分に対し、心を許してくれていること。その笑顔だけで、ジュードにはすべて伝わっていて。
「もう…ずるいよ」
女性の涙と笑顔は武器だというのを何度も聞いたことがあるが、本当にその通りだと認めざるを得なかった。
「その顔……僕以外には、見せたりしないで、ね」
「ふむ、秘密というやつだな。わかったよ、ジュード」
ミラを束縛したりしたくない、そう思っているのに。
ずっと一緒にいたい、その想いばかりが膨れ上がり、もう破裂してしまいそうだ。
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タイトル・反転コンタクト
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