尊敬している人物が、ずっと隣にいるのは、どうにも緊張してしまう。
月日がたてば、どうにかなるだろうと思っていたし、慣れてくれれば、この緊張もなくなって、彼女にまで、緊張していることが伝わってしまったら、どうしようと、そわそわして仕方がなかった。
「私はどうも、君の前では気が抜けてしまうな」
彼、ジュードと共にいると、安心しきってなのか、君に甘えたくなると、ミラは言う。
それはまるで、子供が甘えるかのように。
無論、自分は、過去も未来も変わることはなく、私は私だと、そう宣言することはできるだろう。
だが、ジュードの前だけは、違う自分が生まれている事も気づいていた。
彼は、自分がなんであろうと、どうであろうと、すべて受け止めてくれると、そう確信しているからだ。
ずっとそうするわけではない、だが、甘えられる相手がいるということは、こんなにも心地好いものなのかと、ジュードに寄り添う度に、自身に刻み込ませていた。
「僕は、緊張してるのに」
「何故だ?私といて、緊張する理由など、ないだろう」
「あるんだよ……色々と」
君がどうであろうと、君を離したりなどしない。
ただ、こうして、彼女が自分に、ずっと気を許す存在でいてくれるのか、それは定かではない。
でも、それでも、いい。
(僕はもっと、大人になれる)
君のおかげで、胸を張って、僕はそう言えるだろう。
―――――――――――
タイトル・反転コンタクト
prev / next