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※吐息ユニゾン






※観覧注意
降参しても逃げ道は教えないの続きです。











(どうしてだろう、なんか、怖い)



レイアの唇にアルヴィンの唇が挟み込んでくる。
無論、されて嬉しくないわけがない。彼が自分からキスをしてくるのは、稀だ。
自分からというのがポイントだった。最初はそんなこと、微塵たりとも思ったことなどなかったのに、彼を知れば知るほど、なるほどなと納得せざるを得なかった。

でもどうして、こんな乱暴にしてくるのかが、レイアには理解不能だった。
唇が離されたかと思ったら、休む暇もなく、アルヴィンのざらついた舌が、レイアの首筋をなぞる。その舌使いにレイアは口から吐息が漏れだす。そこが敏感だからって、知っているからだ。やめてって言いたいのに、言えない。こういう人に限って、心を許し合えるような関係になってしまっては、何を言っても通じなくなる。
現にもう、彼は動きを止めようとしない。いつの間にかレイアの上半身の服を肌が見える程に脱がしていた。中途半端な格好が、また厭らしい。


「ぁ……」

「なんで隠すんだよ、もう何回も見てきてんだろ」

「だ、だって……」

「っとに、相変わらず強情だな、レイアは」

「っ……んんっ……!」



アルヴィンの体重がレイアの小さい体全体に乗っかった。
口を塞いだ後、アルヴィンは目を細めながらレイアを眺めた。ほらもう、泣きそうな顔をしてきている。こういうことされて嫌だから、泣いているんじゃないんだよなと、彼の本能がくすぐっている。
彼女の弱点は知っている。いつもなら、もう少し、レイアの肌の温もりを感じながら指を辿るが、もう少しで彼女はもっと泣くだろう。自分の重みに潰されて、嫌だ嫌だと叫びながら。


「嫌じゃないよな、いい、の間違いだろ」


腹部を舌で舐めながら、アルヴィンはレイアの反応を楽しんだ。こうして舐める度に反応するレイアが、また堪らない。
行為をしている時に、たまに怯えて自分を見る、翡翠の瞳。
レイアのこんな表情、他に誰が見たことがあるだろうか。

きっと、自分だけだろう。

舌を、指を、巧みに使いながら、彼はレイアを攻めていく。そうしたら、今度は、レイアが物欲しそうにしながら、アルヴィンを見つめてくる。この瞬間も、アルヴィンはとても好きだった。ぎゅっと抱きしめたくなると同時に、もっと壊したくもなる。

けれど、必ず後者には至らない。そうしたくなるのに、結局はレイアを自分の腕の中に閉じ込めて、自分にしがみついて、イってほしい。肌と肌が密着するこの威力は、味わって見なければ、誰にもわからない。


「アルヴィン……っ」

「俺はおたくに本当弱いわ、もっと泣かせたいって思うのに、んな顔されたら、大事にしたくなる」

「……っ、酷いよ」

「ほら、そのむくれた顔。泣いた顔も、怒った顔も、可愛いもんだな」



ニヤニヤとアルヴィンは笑いながらレイアを見る。そんな甘い言葉も、動じる事なんて少なかったのに、彼から言われると別格だ。すぐに恥ずかしくなってしまう。

仕返しに言ってあげようかと思った。
彼が恥ずかしくなったり、笑顔になる言葉をレイアは知っている。はぐらかしたりごまかしたりしても、気が緩んだ時には、本当はこんなに嬉しいんだと顔が綻んでいるんだ。

でもレイアは、いつもそこで堪えた。
言ってしまったら、彼が気にして見る事ができなくなってしまうかもしれない。
それを見る事ができるのは、自分だけなのだから。




「ほら、どうする?気持ち良くなりたいか?」

「……う……ん。でも…優しく…してよね」

「それはわかんねえな」

「っ…ああぁっ………!!や……いきなり…ぃ…っ」






でも、どんな顔をしていても、やっぱり笑った顔や、喜んだ顔を見るのが、なんだかんだ言っても、一番だ。













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タイトル・Evergreen


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