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こいつのキスは甘い







自分が恋をしていると自覚したら、その人の近くにいたいと思う。
考えないようにしているつもりでいるのに、考えているのは、あなたの事ばかり。
入り込んでこないでと思った。本来にやらなければならないことに集中したいのに、あなたがいつも邪魔をする。
あなたが心の中に入ってくるから、どうしたらいいのか、わからなくなって困っている。レイアの悩みの種だった。

彼と自分の歳の差を考えれば、約一回りも違うわけだから、彼にとっての自分は、恋愛対象になど、入っているはずかない。子供だと思われているだろう。自分がアルヴィンと同じ年齢だったら、子供だと思ってしまうから。

どうしたら、彼に、女の子として意識してもらえるだろうか。

レイアの頭は悶々とする。恋愛に歳の差は関係ないといえども、あの彼を自分に向かせることなんて、不可能に近いんじゃないかって。それでも諦めたくないと思う。自分が彼を想っている証拠だ。

それが最近になって、相手を意識させようという考え方をやめて、それを逆手にとるのもいいのではないかと、レイアは考え、閃いた。

食事の席で、アルヴィンが席を立ち、彼が戻ってきたのを見計らって、思い切り背伸びをしてみる。


「もっと気持ち良くさせてやろうか」


アルヴィンがレイアの両手首を掴み、ぐいぐいとレイアの両腕を上に伸ばす。


「痛い痛いいたーい!!」

「ほっそい手首だな、ちゃんとメシ食えてるか?」

「それは、アルヴィン君の手が大きいから、そう思うだけだよ、わたし、ちゃんとご飯食べてるもん」

「言われてみりゃあ、そうか」



アルヴィンがレイアから手を離し、席につく。
レイアは太股の上に手を置き、平静を装ってはみるものの、彼に触れられた事が思いの外、ドキドキして心臓が鳴り止まなかった。

レイアはアルヴィンに腕がぶつかるのを想定して行ったまで。まさか彼に手首を捕まれて、腕を伸ばしてもらえるなんて、まったく思っていなかった。
触れられた手首が熱い。さすが男の人だ、ほんの軽く握ったつもりだと思うが、力がハンパない。


(ラッキーって、思っちゃっていいんだよね、えへへ)


レイアは一人になった時、両手首にキスをして、頬を染めては、嬉しそうに微笑んだ。
少しずつでいいから、彼と距離を縮めていきたい。

あの、作戦通りに。












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タイトル・反転コンタクト


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