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シャルルーに告白









普段の自分は、女性に迫られようと、胸がときめいたりなどはしなかった。
例えば、Barなどで、酔っ払った女性または、そうでない女性に肩を抱かれても、今後のお誘いを受けたりしても、綺麗な女性だったとしても、一ミリたりとも、心臓が動かされることはなかった。

それは男としてどうなのか。バランに言われてしまったことがある。
ちゃんとついているのか、なども言われ、からかわれたりもした。
その時は、ふざけんなよと軽く怒鳴った。バランが冗談で言っていることを、わかっていたからだ。


「僕だってそうだしね」

「だよな、俺だけじゃないよな」

「一日一年中、そんな生活が続いていたら、やっていけないだろう、やっぱ男は仕事が第一、その次に女だ」



仕事と私とどっちが大事なのか。その言葉をよくいう女性はいた。それを言われる度にうんざりした。
男女の根本的な違いはここだ。お前が一番だと言えば、それで満足するのか。そんなはずがないだろう。

一度言われれば、それ以降もそうだ。ずっと言われ続ける。



「お前はいいだろう、アルフレド。もう、女がいるんだから」

「いるよ、いいだろ、バラン。俺はやっぱ、あいつにしか、ときめかねえ。いくら他の女が寄ってこようと、あいつじゃないと、俺はダメだ」




レイアじゃないと、愛しいという感情は生まれなかった。レイアを好きだと自覚してから、もうそこから、アルヴィンの視界は、レイアしか見えなくなった。
レイアが傍にいるだけで、息苦しく、こらえるのに必死だった。

会えば会うほど、会話を交わせば交わすほど、思い知らされたのは、レイアが好きだという本質的な部分。
今だってそうだ。レイアの顔を思い浮かべるだけで、幸せな気持ちになる。

こんな一途だったのかと思った。バカみたいだと思っていたのに、こんな風になってしまった自分は、バカなんだろう。


「わたしね、アルヴィン君には、わたしよりも、仕事を選んでほしいな。だってわたし達は、まだ恋人で家族じゃない。だったら、仕事を優先してほしいな」



この言葉を言われた時は、本当に驚いた。
どうしたら、こんな考え方に行き着くのか。誰かに教えてもらったのか。
なんでもいい、とにかく言えることは、ただひとつだった。



「いい女だよな、レイアさんは。君には勿体なさすぎる」

「レイアは誰にも渡さねーよ。お前にもな」

「僕は奪うとか、趣味じゃないんでね、心配しなくていいよ」




スヴェント家の血筋を嘗めたらいけない。
自分の事をからかうのが好きなバランだから、遊びでレイアに手を出す可能性もなくはない。

だから、この男には、用心しなくてはならないと思った。



「ああ、アルフレド知ってる?実はレイアさん、この部屋にいるんだよ」

「はあ?!!どこにだよ!」



バランが自分の存在をばらしたのが聞こえ、レイアはクローゼットから、姿を現して、少しばかりか恥ずかしそうにしながら、二人の元に近づいた。


「ん、どうしたの?アルフレド。あ、そういえば、レイアさんをどうするとか言ってたっけ?」

「マジで恨んでやるぞ、バラン……!」




アルヴィンが恥ずかしそうにしているのを見て、レイアはバランの言うように、アルヴィンのそういう姿を見ることができて、喜びを隠せなかった。



「わたしも、アルヴィン君は誰にも渡さないもんね。バランさんにもだよ」

「お、言うね。僕たち、アルフレドの事、好きなんだもんね、負けないよ」

「バラン待て、今のは違うだろ!」






本当はこんなに愛されている存在なんだということを、アルヴィンは理解するべきである。









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タイトル・涙星マーメイドライオン






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