ネバーランドにはいけない
(だって…大人は殺されちゃうでしょ、?)




大人になりたくないと思ったって、いつかはきっと大人になる。
大人になるのが恐い。


きみと離れるのが恐い。

きみとの恋が消え去るのが…恐いんだ。






温かいシーツに二人してくるまる。
山本の腕枕が気持ちいい。

「ツナ…どした?」

朝方でかすれた山本の声が耳に響いて、いい具合に鼓膜を揺らす。

「ううん…幸せだなって」

オレがそう、ヘラリと笑うと山本も笑いかえしてきた。

あ、好きだな…やっぱり。山本の笑いは…なんでか…落ち着く。


(いつまで…この笑顔と向き合える、?)


「怖い夢でも…みた?」

「ううん…大丈夫だよ?」

山本はそっか、と言って何か考えるように眉を顰めた。


(いつまで…きみの声をきける、?)


「やっぱ、なにか…考えてるだろ」

温かい大きな、ゴツゴツした手がオレの頬を包む。
山本の顔が近づいて、鼻がひっつきそうだ。

「ううん」


(ああ…オレはいつまで……こどもでいられるのだろうか)


「……ツナ」


目の前には驚いたような顔をした山本の顔。

どうしたのかな。って思ったら…


「あれ…なんで……涙…」

涙が溢れてた。


(目の前にはまだきみがいる)


山本はオレをギュウッて抱き締めてくれた。
首筋に埋まる山本の顔。
ギリリと、歯を食い縛る音が耳に響いた。


「山本…は……恐く…ない」

「なにが…」


(でもきっと…俺たちは)


頭を撫でる優しい手に、涙が止まらない。



「大人に…なっちゃうこと」


(いつかは…大人になってしまうんだ)



「…俺は…ツナと一緒なら…なんにだってなるよ。大人にだって、こどものままでだって。」


(うそつき、)


そんなの…わからないじゃないか。

そんなの…不可能じゃないか。

その言葉はのみこんで。


顔を覗き込んできた彼に笑顔でかえす。


「ネバーランドでも…みつけてみる?」


二人で、さ。


そう言ったきみの顔が、もうすでに…大人びていて。

時が止まればいいと…思った。






(きみが大人になるのなら…おれはネバーランドをえらべないね)











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