のがれるすべなど
ないというのに
なんど諦めようとしたか。
なんど心を殺して、自分の醜い感情を排除しようと思ったか…。
ダメだった。無理だった。
あの方に、こんな感情を持つなんて…
最低だ。
「獄寺くん…」
ああ…どうか、名前を呼ばないで。
こんな醜い自分を見ないで。
それでもあなたは優しく、ふんわりと笑っては…名前を呼ぶ。
「隼人……大好きだよ」
そう言って、逃がさないとでも云うような…
強い双眸を向ける。
「ね…?隼人も…でしょ?」
崩れ落ちる俺の頭上から聞こえるは…優しく美しいあなた。
「…隼人は逃げたいの?」
逃がすことなどしないのに…
あなたから俺が逃げるとでも?
「大好きです…沢田さん」
(逃がさないのは……逃れられないのはどっち?)
>>獄ツナ
暗っ
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