「山本ってさ、いつも…余裕なんだね…」



[リズムを狂わせたい]



俺は今、山本の部屋の山本の足の間に座っている。

山本の手はしっかりと俺をしっかりがっちり、ホールドしている。

俺の頭に顎を乗せて、前のテレビを見てときどき。

こいついつも馬鹿やってんなー?
とか、
あ、この子可愛いって評判だぜー
とか。


山本はいつだって余裕だ。
いつもニコニコして、よっぽどのことが無い限りその笑顔を潜め(ヒソメ)たりしない。

今の、俺のこの状況だってそう。


俺ばっかりが無駄にドキドキドキドキ…馬鹿みたいでやになっちゃう。


だから、ニコニコヘラヘラ笑顔を絶やさない山本に言ってやった。
ちょっと、むくれながら。


「んー?どうした?ツナ…腹でも減った?」

山本は豪快に笑って、俺をギュッと抱き締める。


「なっ!?違っ!!」

俺は山本から離れようと、必死にバタバタするけど。

山本と俺の力の差なんて…月とスッポン…いや、ゴジラと蟻みたいな…。

やばい…話し逸れた。意味分かんない。


つか、またテレビの中のアイドルの女の子みて
かわいーのな。
とか…

なに…もう。

もやもやする!!


「山本……俺…帰る」

俺が静かにそう言うと、山本がピクリと動いた…気がした。

「え?今日泊まるんだろ?」

でも、降ってきた声は…いたって普通。


頭に血が昇るって云うのかな…

イライラしてきた。


「いやだ……帰る」

「なに?…ツナ…怒ってんの?」


わしわしと頭を撫でられる。
いつもは嬉しくて、ほわーってして…やめて欲しく無いって思うのに…今はすごく嫌で。

俺は頭をブンブン横に振った。


「ほら、機嫌直せってー」
「知らない…山本には可愛い子がお似合いだよ…テレビみたいな」


しーん。として、俺は怒らしたかと思って次の衝撃(怒鳴り声)に目をつぶっていた。


「…ツナ……こっち向けよ」

耳元で甘く低い、真面目な声にドキリと心臓が跳ねた。

「い…や…」
俺が小さく首を振ったらグイッと顎を掴まれ、唇を覆うようにキスされた。

「んっ…んぅ…ン」

言葉を発しそうとした僅かな隙間に舌を入れられ、咥内を貪られる。

「ンンッ…ん…はぁ…はぁ…」

やっと、解放された唇からは、どちらのものか分からない唾液が二人の間を伝う。

酸素が少なくて、頭が朦朧とする。

山本に縋りつくように、もたれかかる。

山本は俺を抱えあげる。


「えっ、な…に?」

ふわふわとする頭で宙に浮かぶ浮遊感に身震いする。

「ツナ…それ反則だよ」

山本はそう言って、またキスをする。

そのまま、ベッドに押し倒され熱い身体を押しつけられる。

「わりっ……ツナが可愛いことゆーから…」

山本は男くさい顔でニッと笑い、また俺に深いキス。
俺は与えられる温かさがなんだか心地よくて、山本のキスにこたえた。

「嫉妬………した?」

「っ…はぁ…嫉妬…んっ…ンン…なん…か…してな…い…っ……ン」

キスの合間に互いに言葉を発するのが気恥ずかしい。

やっと解放された唇は少し腫れて熱かった。


「な…俺……ツナの前じゃ…余裕なんてねーよ」

鼻がひっつくぐらいに近付いた山本の顔は嬉しそう。
「う…そだ……だって…俺ばっか余裕無くて…ドキドキしてる!」

山本の服を握り締めながら言う。
「そんなことねーよ…俺も一緒」

そう言ってギュウッと抱き締められる。

「あ…」

耳に届くのはすごく早い心臓の鼓動。

「な…?」

そう言って、いつもみたいに笑った山本に、俺は抱きついた。






(君のリズムを狂わせたい…でも狂わされるのはいつも自分)




Fin...


>>余裕ありそうで無い山本好きだなー。(いろんなトコで…)






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -