こ
こ
に
お
い
で
獄寺くんは狡いと思う。
ううん…狡いよ。
いつものように、獄寺くんの部屋に来て、ブラックの大きめのソファーに寄り添って座る。
テレビはさっきから、面白くないバラエティが流れている。
獄寺くん、バラエティなんか見ないのに。
チラリと顔を盗み見たけど、やっぱり無表情。
ていうか、未成年がなんでお酒飲んでんの…。
獄寺くんは時折、思い出したように手に持っていたコップを傾ける。
中身はアルコールの少し高い…イタリアのお酒らしい。
よくわかんないけど…不味かったのは覚えてる。
オレも貰ったオレンジジュースを流し込む。
オレ達はさっきから一言も喋らない。
獄寺くんはいつも、ご飯を食べて、お風呂にも入って、このソファーに座ってのんびりする時はあんまり話さない。
いや…二人きりの時はいつもこんな感じ。
山本とかといると、煩いくらいに喋りかけてくるのに。
二人だったら十代目を独り占めしているって実感してるから大丈夫なんです。
なんて、恥ずかしいこと言ってた。
狡い。
オレが我慢できなくなるのをまってるなんて狡い。
いつもそうだ。オレが我慢できなくなって甘えだしたときの、獄寺くんの顔。
それを見て、あーまた…やっちゃった。次は絶対引っ掛からないって思うんだけど…やっぱり無理で…。
まぁ、それを知ってて甘えるオレもどうかと思うけどね。
寄り添っているから互いの体温が温かい。
隣から香るのは、オレと同じシャンプーの香り。
それと、大好きな獄寺くんの匂い。
染み付いた煙草の匂いと薄れた香水の香り。
ああ、やっぱり無理みたい。
「獄寺くんは狡いよね」
オレはそう言ってオレの肩に回してあった腕をつねった。
「いきなり………なにかありました?」
獄寺くんはオレを覗き込んできて、もう片方の手でオレの前髪を梳く。
あー…顔ゆるゆる……。
意地悪く口端をあげて……。
実に嬉しそうな君はやっぱり…
「…狡いんだもん」
そう言うと、少し考えるような仕草をして…
次には、ちょいちょいと自分の足の間を指差した。
なぁに?って聞くと、
ご冗談を…分かってるでしょ?
って、ニッコリとかえされた。
やっぱり、狡いんだ。
それでもオレは言われたとおりに…
『ここにおいで』
のサインに応じる。
ちょこんと座ったら後ろからギュッと抱き締められた。
「なにすんのさ…」
「甘えるならこれでしょ?」
「なんだよ…獄寺くんばっかり余裕で」
髪の毛に優しいキスが降る。
そんなんじゃ…機嫌なんか直さないよ。
「余裕なんて…はなから持ち合わせていませんよ」
耳元で囁いて、耳を食んでくる。
「……エッチ」
「沢田さんにだけですよ」
オレは熱くなる顔を身体ごと反転させ、獄寺くんに抱きついた。
肩に真っ赤であろう顔をグリグリとひっつけながら。
「今日は…甘えたさんですね」
腰にズクリとくる甘い声。
「うるさい…馬鹿隼人」
名前を呼ぶと、ピクリと反応した。
顔を覗き込むと、真っ赤な彼。
顔を見合わせ少し笑い合って、むせ返るような甘いキスをした。
『ここにおいで』
のサインは互いの甘えたいサイン。
>>1000打ありがとうございました!
これも皆様のおかげです。
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竜弥