それは裏切りで…


そんなのは単なる…俺のエゴ。

だけど…抑えることができないんだ。

止めることができない。


否、止まらないんだ…もう。


君を好きだってことが…


こんなにも…俺をアンフェアにさせる。



アンフェア



「ツナー弁当食いにいこうぜ」

俺は礼のすぐ後に、弁当を引っ提げ呼んだ。


「うんっ!」

花開いたように笑い、ガタンと派手に椅子を倒しながら焦るツナの元に大股で近付き、椅子を立たせてやる。

「ツナは慌てもんだな!弁当は逃げやしねーって」


俺は小さなツナの柔らかい頭をくしゃりと撫でてやった。


案の定顔を真っ赤にし、やっやめてよ…なんて言って俺を見上げる。


いつもなら、獄寺が青筋をたててひっぺ返しにくる…

だけど今日は、その獄寺はサボり……だから…もっと触れていたい。

「…さっ……屋上行こうぜ」

でも、ここじゃ駄目だ。

独り占めするには…ここは向かない。


俺はツナの頭から手を離しニッコリと笑った。


俺が笑えばツナも笑う。

俺が何を考えているかなんて…分かりはしないのだから。


「うわぁ!ちょっと暑いね…」


「ホントだなーあちぃ」

俺はツナの隣にドカリと腰掛け、ツナが嬉しそうに弁当を広げるのを見ていた。

外は真夏の太陽とは云わないけど…少し汗が滲む日差し。


ツナの白い首筋が目に入り、その首筋に汗が伝うのが妙に色っぽく見えたのは…俺が重症だからだけではないだろう。


俺はツナから目を逸らし空を見上げた。


「あ…獄寺くん…今日お休みだね…」

そう、少し残念そうに言ったのも…当の本人は気付いていないのだろう…


「あーそうだな」

俺が、腹でも壊したんじゃねーか?と、笑いながら言ったのに表情を緩めながら、ツナは話しだした。


「この間…獄寺くんがさ……」

俺は適当に相槌を打つことにした。

あいつがいないときはいつもこれだ…

イライラする。


「……」

なあ…俺を見ろよ。
お前の目の前にいるのは俺だろ?

お前の瞳にあいつしか映っていないなんて………

俺は認めない。


「ツナ…」


俺はツナの後ろにある金網にツナを押しつけ、両手で囲った。


「…山…も…と?」

俺はツナの唇に誘われるように、口付けた。

「っ?!んぅっ…んっ」

首を振り、俺を振りほどこうと藻掻くツナの頭を押さえ付け、角度を変え口内を犯す。

俺のシャツを懸命に掴むツナが愛しい。

もっと…もっと、今だけはこの甘さを俺だけのものに………


「んんっ…ふぁっ…ぁ…」
俺は最後にちゅっと音をたて唇を離し、ツナの涎で光る唇を手で拭ってやった。

「…やま…もと?」

涙をいっぱいに溜め、肩で息をしながらツナは、虚ろな目で見上げてきた。


「……ごめんな?でも…俺はツナが好きだから…」

「えっ…」



驚いたように目を見開いたツナに苦笑し、もう一度謝ると、熱さを反射するコンクリートから腰を浮かし、屋上のドアを後ろ手に閉めた。



「よぉ…覗き見なんて悪趣味だぜ………………獄寺」俺の目の前には闘争心むき出しの、ギラギラした瞳。
今にも殴りかかってきそうだ。

「てめぇ…どういう料簡だ?」

握り締める拳に血が滲んでいた。

「べつに…ただ、ツナが好きだから…だよ」

それ以外に何があるんだ?と聞き返せば、頬に鋭い痛み。

「っ…てぇな……暴力はよくねーぜ?獄…「っざけんなよっ!!十代目に手だすんじゃねえっ!」……お前だって俺と一緒だろ?」


俺がそういうと獄寺はピクリと反応し、俺を睨み上げてきた。

「テメーと一緒にすんな」


まあ…一緒じゃねーな

こんなのはフェアじゃない。


俺が獄寺より先にツナにキスした、告白した。


ツナは優しいから…獄寺の気持ちには答えないだろう。

俺のことを考えて。


俺のものにならなくても…他の奴のものにならないなら…

アンフェアだと言われたって構わない。

これは野球じゃあない。

フェアプレーなんかできやしない。


「お前には…ツナは渡さない」


俺は獄寺を睨みつけ、また笑顔を張りつけた。


「ツナがお前のこと…心配してたぜ」

俺はそう言って、階段をかけおりた。



「あれ?武…イーことでもあった?」

クラスに戻ると寄ってきた、女子にそう言われた。

「お?わかる?」

俺は笑った。



誰も報われることの無い…俺等を嘲笑うように…。



Fin...?




>>うわぁおっ!黒い…黒いよ山本さん!
あたしは爽やかな笑顔の裏は真っ黒であってほしいな山本は!






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