ラストダンス

精神の潔癖症(佐幸)
未来よお別れだ(元親→幸+佐←幸)
悲しく明るい調子(慶次→幸+?←幸)
普遍論争(政幸)
レーゾンデートル(佐幸?)

*←破廉恥
#←現パロ

シリアス(狂)メインですのでお気を付け下さい。








暑い夏日。
暑さで精神が馬鹿になったのか。
自分はとんでもないことを口走っていた。

ただたんに、楽しそうに異性と話していた佐助を見ただけで。
暑さのせいだ。そう託けて、イライラして。


そんなに、女性が好きなら別れればいいのに。


先程まで暑いのにも関わらず笑っていた佐助の顔が、一瞬歪んだと思ったら、次の瞬間肩と背中に激痛が走った。
佐助に肩を掴まれ壁に背を押しつけられた。
物凄い音がしたけれど、佐助の家だから大丈夫だろう。

なんて、クラリと眩暈を覚えながら思い、佐助を見ると今にも泣きそうな顔。

「許さない…ゆるさないよ……」

何を許さないのか…。
幸村は眩暈の次にむせながら佐助を睨む。

「俺から離れたいなんて…許さない」

離れたい…。佐助は何のことを言っているのか。
頭がついていかない。
離れたがっているのは自分だろう。

「離れるなんて…別れるなんて…許さない」

次の瞬間強く抱き締められて、骨が軋んだ。
心も軋んだ気がした。
涙が後から後から流れてきて、息が詰まる。

背中に手を伸ばす。

「すき…すき……」

熱の籠もる空気に吐き出した一生懸命の言葉は、すぐに塞がれた。

深く深く口付けられれば、おかしくなるくらいに抱き締められて抱き締めて、互いの熱を共有するみたいに互いが熱い。

漸く唇を離されたときは、身体中の力が抜けて一人では立つことができなかった。

「ごめん……俺……本当にごめん……でも…別れるなんて…言わないで」

消え入るような擦れた声で紡いだ言葉…顔を覗き込むと涙目で。
嗚呼駄目みたいだ。君がいないと。

「佐助は俺だけを見ていろ」

そんな我儘を破顔で返され、今度は優しく抱き締められた。

ジトリと汗ばむ身体は妙に心地よかった。





の潔癖症
(あなたに嫌われたら…壊れてしまう)










「元親殿は様々な方から慕われていて、とても素晴らしいですね」
四国の海を見ながらの幸村はとても綺麗だと、そして、果敢無いと思った。
だから、自分を慰めるために幸村に酷な意地悪を言う。
「お前も慕われていたじゃないか、部下に忍に…あと、猿飛とかいう忍にも…だったな」
一瞬目を見開いたが、後はふんわりと笑みを零すだけで、そんな幸村を見て自分が悲しくなった。

「慕っているなんて……酷く曖昧な言葉じゃねえか」
月を見つめる幸村の横顔を見つめ言葉をぶつける。
「そうかもしれませぬな…」
そう紡いだ唇を己の唇で塞ぐ。
抵抗はないが、反応も無い。
奥歯を噛み締め元親は顔を顰めた。


「あいつは死んだんだ、お前も見ただろう…伊達に…それでも…あいつが…」
「元親殿…某とて元親殿をお慕い申しております…だから全て捧げました」
「お前の…此処は貰ってねえ」
女物の紅い着物を崩した幸村を引っ張り自分の腕に抱き、白い胸の紅い痕が集中する真ん中を優しく押す。
「……此処…にございますか?」
「そうだ……お前の心は貰ってねえ」

そう言った元親にくつりと笑う幸村はどこか、寒気を感じさせた。

「それは…無理だと思いまする」
「なぜ…全て捧げると言った」
「……もう此処には無いからです」

(嗚呼…なんて、残酷な)

元親から離れ、座りなおす幸村を呆然と見つめる。



「…心は死んでしまったようです」

だって、一緒に埋めてきてしまいました故、しょうのないことなのです。



「……そうか」

元親はそうニコリと微笑み月を見上げる幸村の横顔を見、酒を煽った。


未来よお別れだ
(過去はいらない、だから未来だけでも
そう思うのは罪なのですか)







「幸はさ…なんで俺と付き合ってくれないの」

そう言った慶次に幸村は、何を仰るやら…冗談は聞き飽きましたと、目を細め笑った。

「冗談じゃないって言ったら…付き合ってくれるの」

慶次は幸村の髪の毛を梳き、一房指に絡め唇をつける。
その行程をボンヤリと見つめていた幸村だったが、ボソリとその名を出す。

「―――…」
「…っ」


名前を紡いだ幸村から一筋の涙が肌を曲線を描きながら落ちた。
それを見た慶次は歯を食い縛りながら、幸村を抱き締める。

「……俺が忘れさせてあげるよ」

そう言って、屈託の無い笑顔を見せた。


しく明るい調子
(たとえあなたが振り向かずとも、
僕はあなたに笑顔を送る)







「好きだぜ幸村」

下肢に埋まる一物はそのままで、耳元で囁かれる甘い睦言がとてもくすぐったいと、ボンヤリとする頭で幸村感じていた。

「んっ…ァっ…ハァ…ま…さむね…殿」

自分は政宗の様にそんな甘ったるい言葉を吐き出せるほど、大人ではない。
だから、代わりといってはなんだが、震える手を伸ばし政宗に抱きつく。

「あっ…っぁ……ゃ…んン」

容赦無く内を蠢く政宗に幸村は涙を溜め、嬌声をあげる。
政宗にはそんな姿が苦痛と見えたのか、幸村の目尻に溜まる涙を拭う。

「…幸村……辛くねぇか?」

幸村は一瞬驚いたような顔をしてから笑った。
あの独眼竜政宗が好敵手、紅蓮の鬼真田幸村を、眉をひそめ本気で心配しているのだから…。
これ程可笑しなことは無いと、幸村は笑う。

「心配…して下さるのですね…」

ふにゃりと幸村は笑い政宗の頬へと唇を寄せた。

「…Shit…動くぞ」

「ひっ…ァア……んっ…んぅっ」
政宗の律動に合わせて漏れる嬌声に、幸村は手の甲を噛んで耐える。
それを見、律動を繰り返しながら政宗が幸村の腕を掴んでやめさせる。

「馬鹿…手が傷つく」

「傷…っあ……付けるのはいつも政宗殿で…ござりまする」

幸村は手の甲を丹念に舐める政宗を見つめ言った。
最後に接吻を音を立ててすると、また眉をひそめた。

「当たり前だろ……お前は俺のもんだ…たとえお前でも傷つけるこたぁ許さねぇ……You see?」

「勝手な…お人でござる」
政宗のさも当たり前かのような言い草に、呆れたように言うも、破顔して政宗に抱きつき、首筋に噛み付いた。

「いっ…」

「政宗殿に傷を付けて良いのも…某だけでござる」

そう言って、噛んだ跡を紅い舌で舐めた。


論争
(二人に共通する、愛の形)








ジトリと肌に張りつくシャツが欝陶しい。
そんなことをボンヤリと考えてたら、避けきれなかった。
いつもなら上手くかわして、キスの一つでもして許してもらってたのにな。


乾いた空気に、乾いた音が静かに響いた。

「ってぇ……」

くそ、舌噛んだらどうしてくれる。
あ、血の味。どっか切れたみたい。

嗚呼もう。めんどくさい。


佐助は、泣きながら何かを喚き散らし、ひっぱたくだけひっぱたいた女子生徒の後ろ姿に冷たい視線を送ると、静かにため息をついた。
そして今し方、ひっぱたかれた左頬を撫でる。


「またフラれたのか…」

すぐ後ろからそんな声が聞こえて、口端があがってしょうがない。

「いいや、フッてやったの…旦那こそ…覗きなんて趣味が悪いねぇ」

振り向いてそう告げると目に入るのはくしゃりと歪んだ幸村の顔。
今にも泣きだしてしまいそうだと、佐助は笑みをこぼしながら思う。

「何を……呼び出したのはお前だろう」

幸村は目を伏せる。長い睫毛がフルリと震えるのに幸村の前では隠せない凌辱感がフツフツと湧いてくる。
佐助はいつも女性からの呼び出しがあると幸村にメールを送る。
それ以外のときは全くと言っていいほど、送らないし、幸村のメールすら返さない。

「あら?そうだった…で、どうだった?」

今回は失敗しちゃったけどさ、と喉の奥で笑う。

「…お前は相も変わらず………最低だ」

幸村の伏せた瞳から睫毛を伝い涙が落ちる。
ぞくりぞくりと、背を這う感覚が気持ちいい。
(そうだよ…もっと溺れればいい。俺だけに)

「そ、ありがと」

短く呟き、それじゃあと幸村に背を向けた佐助の背にポスンと音をたて幸村が抱きつく。
佐助の腰辺りをギュウギュウと腕で抱き込む。

震える白い腕を見下ろし、佐助はニンマリと笑う。

「俺様のこと最低なんて言うのにさ…来ちゃうんだよねぇ…旦那は…なんで?」

嫌なら来なければいいじゃん。
心底楽しそうに笑った顔は幸村には分らない。
それをいいことに冷たく佐助は言い放つ。

「俺は…お前が……」

「そうだよねぇ…旦那は俺のこと好きなんだよね…」

ビクリと反応し、佐助から離れた幸村は、可笑しな程に真っ赤になって俯いていた。

(ほんと…可愛い人)

「旦那…キスしてあげようか?」

「さ…す…っん」

次の科白は冷たい唇で遮られた。

「俺も好きだよ、そういう、馬鹿みたいに一途で純粋なとこ」

あと、女の子の次にね。
そう、思ってもいない科白を吐き出せば、幸村の綺麗な蜜色の瞳は潤み涙を零れさせる。
外傷はすぐに消えてしまう。
それならば、内に刻み込んでしまえばいい。
そう思ったのはいつだったか、覚えてもいない。

「俺は…俺は何のために存在すればいいのだ?…もう…こんな関係は…苦しい」

「何言ってんの…決まってる……俺様のためでしょ」

あんたは俺の腕の中で泣いてりゃいいんだ。



レーゾンデートル
(存在理由?そんなもの…言うまでもないだろう?)



>>complete;(080909)
シリアスっていうか、暗い狂った話ばっかりですみません。
竜弥


お題:フラッパー少女と僕。


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