「元親殿!どうなされたのですか?!」
紅い清楚な花柄の着流しを来た幸村が、今し方上田城の門をくぐった男、長曾我部元親に駆け寄る。
栗色の尻尾毛を揺らしながら走る幸村が、女子(おなご)の様に見え元親は口角を上げくつりと小さく笑った。
「?…お久しぶりで御座りまする元親殿!」
幸村は笑う元親に首を傾げたが、すぐに満面の笑みで深々と頭を下げた。
「おう……元気だったか幸村?」
元親は幸村の頭を撫で、スルリと頬を撫でた。
眸を見開き顔を赤くし、破廉恥で御座りまする!と幸村は騒ぐ。
「なーんでだよ…林檎見たいに頬赤くしてるからだろ」
元親は寒さで赤くなっている幸村の頬と鼻の頭を擦る。
幸村は文句を言いながらも、気持ちいいのか目を細める。
「元親殿…ここは寒う御座りまする……某の部屋へ…ひゃわっ!」
「もうちっと…色気のある声出せよ…」
元親は幸村を胸板に押しつけるように抱き締める。
硬直していた幸村は己の状況を把握したとたん、ぷるぷると震え叫んだ。
「はっははは…破廉恥ぃーーー!!」
「うっわ…こら!さーわーぐーなー」
ジタバタと騒ぐ幸村を笑いながら更に強く抱き締める。
いつ抱き締めても細いなと元親は思いながら、幸村の紅い着流し越しに腰と尻を撫でる。
「なっ!なななっ!」
「お前飯食ってんのか?」
「やっ…やめてくだされ……元親殿…」
幸村は目に泪を浮かべ、真っ赤になりながら見上げる。
「………はぁ…」
元親はため息を吐くと、幸村の首筋に顔を埋める。
「俺……心配だぜ…」
「なにがでござる?」
「んー?……いーや…幸村…」
元親は幸村を離し幸村の白い手を、優しく己の手のひらに乗せる。
「元親…殿?」
「…幸村……好きだ」
跪き、幸村の手の甲に唇を当てながら囁く。
「っ……」
「なぁ……姫?」
ニヤリと笑い元親は音をたてながら甲に接吻をし、立ち上がった。
「ほら…部屋行くんだろ………姫さん?」
元親は固まったままの幸村に言う。
「はれんち…」
幸村はそう膨れながら言い、元親に両腕を伸ばす。
「はいはい…姫さん」
元親は呆れたように、でも心底嬉しそうに幸村を抱き上げる。
「もっ元親殿?!」
幸村はてっきり、肩にでも担がれるのだとばかり思っていたで元親の横抱きに激しく抵抗を示す。
「なんだよ…我儘姫さんだな…」
「そっ某は…ひっ姫などでは…」
元親は幸村を横抱きしたまま部屋に向かう。
「我儘姫……甘味があるんだけど…どーするよ…」
「…?」
「俺も…極上の甘味…もらっていーか?」
まあ、もらえねーなら奪うけどよぉ。
そう元親が厭らしくニヤリと笑うと、幸村はギュッと元親の首に腕を回した。
「……そうこねーとな…」
遥々逢いにきた意味ねーもんな。
そう言って寒さだけではない幸村の赤く色付いた頬に接吻を送った。
(赤い紅い可愛い君)
>>親幸…?
遥々姫に逢いにきた鬼の話ですが…
元親のキャラが…幸村が…崩壊。
元親は幸村に甘いと思ふ。
竜弥
お題:確かに恋だった