だからさぁ、そういう顔しないでよ。
俺をどれだけ溺れさせたらいいの。ねぇ、教えてよ。
SHRが終わってすぐに保健室に直行した。
そしたら幸村が保健室からちょうど出てきた。
コレって運命だね?って言ったんだけど、幸村は保健室に鍵をかけて無視。
結構傷つくんだけどな俺様。
ついてくるなと言われたけど、もちろん付いていったらココ。
婆裟羅学園では全くといっていいほど利用者が少ない(むしろゼロ)、新校舎から外れた旧校舎の一角にある図書室についた。
幸村は、勉強熱心だねぇと感心する佐助をチラリと見るとムッとした顔を佐助に向けた。
「俺が知らないとでも思ったか…読書家で成績優秀な猿飛佐助」
自分は分からないことがあったから本を探しにきただけだ。どこぞの読書馬鹿みたいに本を読むのはあまり好きでない。
そう言って頬をぷくりと膨らませた。
(あー可愛い可愛いなぁ………ん?)
佐助はふと、違和感に気付く。
「なんでそんなこと知ってるの?」
佐助がそう聞くと幸村はシマッタという顔をし、すぐに本棚の影に隠れた。
(なにあの可愛い生きものっ)
口角が上がり、顔がこれでもかと緩むのを感じながら影に隠れた幸村に近づく。
幸村は佐助に背を向け高い場所の本を取ろうと、爪先だちをしてぴょんぴょんと跳んでいた。
その幸村の低い場所に結われた一房の髪の隙間から見える項(うなじ)が、真っ赤に染まっている。
それをみた佐助はくつりと笑い、幸村の腰に片腕を絡めながら幸村が取ろうとした本を取った。
そして幸村に渡し、後ろから両腕を細い幸村の腰に絡めた。
「……これでしょ?」
「…うむ…」
「俺は読書家じゃないよ?…幸がいなくて暇だから…暇つぶしに読んでるだけ」
本なんかより、幸といるほうが幸せ。だから、相手して?
そう付け加えて幸村の柔らかい髪を撫でる。
「相手って……」
幸村は自分の体温が尋常じゃないくらい上がってきたのを感じていた。
そんな幸村に追い打ちをかけるように佐助の腰にくる低い声が、息が、耳元を掠める。
「ね…こっち向いてよ……」
身体が熱くなってきた。
俺様としたことが…幸村が可愛いすぎて…おかしくなっちまった。
幸村は両腕に本をしっかりと抱き締めたまま、反転して、おずおずと見つめてきた。
「そのように…ジッと見るな…」
顔を赤らめて俺に言う。
(反則でしょ…我慢できないってば)
「ここをどこだと……ン…」
もう我慢できませんよ。
そう囁いて幸村に触れるだけのキスをして、また隙間なく腕のなかに収める。
「ね…なんか興奮するんだけど…先生?」
耳元で囁いた佐助の低い声に、ピクリと小さく幸村は震えた。
「…こんな時だけ…先生なんて……ズルイ…」
「なに?先生も興奮する?」
意地悪くニッコリと笑いながら言う。
「馬鹿もの……」
目を逸らし赤を増す顔を見ながら佐助は満足そうに笑った。
「なんか…足りなさそうな顔だね先生……言ってよ?」
俺様馬鹿だから、先生に教えてもらわないとわかんない。
と、幸村の一房の髪を弄びながら言う。
「…わからぬはずなかろう」
眉を顰めぷくりと頬を膨らませる。
「わかんないな…ね?先生?」
額と額を付け、鼻がひっつくくらいまで近く顔を近付け、佐助は言った。
「……佐助がしたいことをしろ…それが…答えだ」
それに俺は保健医だ。
と、不貞腐れたように言おうとした幸村の言葉は佐助の切羽詰まったようなキスに呑み込まれた。
教えてティーチャー
(もっともっと教えて、なにが分からないか分からなくなるまで)
>>またやってしまわれた。生徒×保健医。
大概好きだな自分。
まー、その後は…佐助が若い狼ってことで(黙れ)
というか…なんだこのネーミングセンスの悪さはこんにゃろ。(え)
竜弥