真田幸村がこの、3年前から共学になった、所謂元男子校の婆裟羅高校に新任保健医として赴任してから早一ヵ月が過ぎようとしていた。

最初は元男子校に男の保健医なんて、痛いものだと思っていたが、ここの男子生徒は女子生徒のように保健室に入り浸る習性があるらしい。
珍しく、少し嬉しくも感じると幸村は赴任当初は思っていた。


しかし、こう昼休みや放課後と、1年から3年までの男子生徒(時に女子生徒)が押し合いへしあい保健室に押し寄せてくるのは、幸村としてもかなり大変なものがある。かといって女子生徒にこられても困るものがあるが。


そんな中、休み時間以外の授業中は幸村にとって安息の時間となっている。


しかし…その貴重な時間を邪魔するものも何人かいる。

その一人が、入学早々保健室に走って来た冴えるような橙色。

一年と聞いて驚いた幸村の唇を奪った飄々とした男。

猿飛佐助だった。


「なんでお前がいるのだ…」

幸村は机に肘をつき、机越しに目の前に座っている佐助に心底嫌そうな目を送る。

「やだなー…頭が痛いって言ってんじゃーん」

「頭が悪いの間違いではないのか?」

佐助はニッコリと笑い、俺様常に学年トップ付近ですから。と言う。
そんな佐助の話は聞かず、幸村は保健だよりの作製に移った。

「ちょっと聞いてよ!」
「頭が良いのにホモときた…別に俺はホモを否定はしないが、俺に破廉恥なことをしてくるお前のことは否定する」

幸村は佐助をジロリと睨む。
佐助は口笛を吹きニッと笑った。

「俺はホモじゃないよ…幸が好きなだけ」

だって、俺様、幸に会う前はちゃーんと女の子と仲良くしちゃってたしね。

そう付け加える。

「…破廉恥な」
「あれ?俺…仲良しだったって言っただけだけど?」
ま、破廉恥なことも任せてよ。

そう言うと幸村から消しゴムが飛んでくる。
それを軽がると避けた佐助に幸村は頬を膨らませる。

(あー……この人本当に年上?…可愛すぎでしょ)

佐助は緩む顔をそのままに、幸村にお決まりの言葉を送る。

「ねぇ?いつになったら…付き合ってくれるの?」

「……いやだ」

「答えになってないよ…」
佐助はヘアバンドを整えながらため息をつく。

入学式の着任挨拶の時に一目惚れした。
それから、一ヵ月。
その一ヵ月で変わらなかったモノといえば、佐助の幸村への恋心と、返ってくる『いやだ』という三文字のみ。

今までの佐助なら、こんなことはなかった。
女は上手い具合にとっかえひっかえ、自前の要領の良さで女からも男からも恨まれることもない。

そこでふと気が付く。
自分からこんなにハマった人なんていただろうか。


「本気なのになぁ…」

「……そんなことは知らぬ…ほら、授業に行け」

項垂れていた佐助は、もう授業終わっちゃうよ。と言おうと幸村を見て固まった。

幸村の顔が羞恥からか真っ赤に染まっていたから。


「幸!」

「名前で呼ぶな!先生と呼べ!」

幸村は顔を赤くしたまま叫ぶ。
そんな幸村お構いなしに佐助は、幸村の手を掴む。


待ってろ……絶対俺様が幸村を落とすから」


そう言って男くさく笑った佐助に、幸村は不覚にも見とれてしまった…というのは、まだ秘密。



(それが分かるのは、半年とちょっと…)






>>生徒佐助×保健医幸村がこの上なく好きです。
今度は出会いを!←
幸村は男子から人気者でございます。
つか、元男子校だったのか?!(自分がビックリ)
1年2年3年には数人しか女子がいません(ぇ)
もちろんお馴染みの面子。

邪魔するものの何人かはもちろん!
政宗、慶次、元親、元就、片倉先生(←?!)です。
ちなみに、古典の武田信玄は幸村が高校の時の担任でした。(なに設定?)



竜弥

お題:確かに恋だった



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