「灰皿しつれーしまーす」
ソファーにデンッと座った大柄の男の前に置かれた灰皿。
盛り上がった煙草の吸殻は幸村が来る前に排除する。
その際男をチラリと盗み見る。
あれだ…。敵意剥き出しな眼とかち合った。
この男は一番侮れないかもしれない。

「あれ?猿くん…幸はー?」

さっきの眼光は微塵も見せない馬鹿みたいな笑いに俺は面白くない。
それでもこちらも負けじと笑ってやる。

「猿くん…目笑ってないよ」
「あんたもね、風来坊」

煙草の吸い殻を袋に入れながら言う。

「あんたとは、仲良くやれそうだったのにな」
「なんの仕事してるか分かんないような恐い人とはお友達になれません」

この、前田慶次は所謂、裏の仕事を転々としてる、なのに隠れもせず娯楽を楽しむもんだから、業界では疎まれてる。
でも、所詮は金だから、ウェルカムってやつ。
前科あんじゃないのかね。なんか、転々としてるんじゃなくて、トップだという噂も耳にする。

「慶次殿、お久しぶりでございます」

そうこう考えてもいる内にNo.1の幸村が大男の隣に座る。
どっから見ても、美女と野獣。否、美女と熊か。

「幸ー会いたかったよー!!」
「某もでござるよ…っわ!」
「ちょっ!何処に顔埋めてんだよ馬鹿野郎っ!」

侮れねぇ!本当に!
幸村の胸に顔埋めやがったよこの熊。
ここはおさわりパブじゃねぇんだよ!
俺は盛大にそう叫んで引き剥がしにかかる。

「ちょっ、けーじ殿っ!擽ったい…ひゃうっ」

「んなっ!」

な…舐めやがった。
俺は直ぐ様、アイスピックを手に取り慶次の首筋に当てる。

「ちょっとー、冗談でしょー…」
「冗談が過ぎるんだよ…その汚ねぇ手を退けてよね」
「さ…さすけ…」

慶次はからからと笑いながら幸村から手を放し手を上にあげた。
俺はアイスピックをテーブルに放り投げた。

「猿くん、いつもの持ってきてよ、幸にはそーだね、お似合いの…ロゼね」
「テコニックですね、よろしくな佐助」
「いやーん、幸覚えててくれたんだね!」

いやーんとか、気色悪いな畜生。
俺は眉をひそめながら一回舌打ちした。

「喉焼けちまえばいーのにさ」
「えー?なぁにー」

いえ、なんにも。
そう答えて俺はカウンターに行く。
途中でかすががいたから、少し安心した。
だって…ねぇ。


「邪魔者は消えたねー幸…いや、しかし、幸は胸デカイよねいつ見ても…F以上じゃない?」
「うぅぅ…はっ…破廉恥でござりまする…」

慶次の腕が幸村の細い肩を抱き寄せる。
が、直ぐに手首を掴まれる。
どうしたものかと後ろを振り向いた慶次は、コレでもかと睨み付けてくる金髪美人を見上げた。

「おい、そー言うのをセクハラと言うんだこの変態熊が」
発せられたのは慶次を罵る科白。

「あらー、かすがじゃんか…何?俺とのナニが忘れられ…痛い痛いっ」

「お前何ぞとナニをした覚えは無い。誤解を招くようなことを言うな!」

幸村の姉的存在のかすがが慶次の耳朶を引っ張る。

「はーい、どうぞ…あんたら騒がしいんだけど」
戻ってきたらギャーギャーと、この二人は煩い、けど、かすがよくやった。
そんなことを考えながらテーブルにテコニックとロゼを置く。
ロゼは幸村に注ぎ手渡す。
「ちょっと…テコニック溢れてんだけど」
「サービスです」
「そんなサービス聞いたこと無いんだけど…つか、塩が無駄についてない?」
「サービスだ」

かすががそう答え幸村の隣に腰かけた。

「幸村…それ飲んだら休憩に行っておいで、その後、三番テーブル、呼ばれている」
「ありがとうござります、かすが殿」

ニッコリと微笑んだ幸村にかすがも俺等には絶対に、天地が引っくり返っても有り得ないくらいの極上の笑みで返す。
恐ろしい女だよ、全く。

「あ、慶次殿、頂きますね」
「うん、あー、幸は可愛いね全く」

幸村の飲む姿をコレでもかと見つめる風来坊。
かすがもちゃっかり飲んで、幸村の頭を撫でてる。
なに、この無法地帯。イライラするな。

「当たり前じゃん…風来坊さーん、お時間ですよー」
「えー、もうか…また指名するからね」
「はい、よろしくお願いします」

かすがに引き継ぎを頼むと言い、席を立とうとした幸村の腕を引き頬にキスをし笑う。
こいつ、本当に油断ならねぇ!
俺はタオルで即座に頬を拭い、かすがはグーで慶次の頬を殴った。
あんた別料金だからね、と言うと、心底スッキリした顔で手を振る。
ああ、ムカツクね。
かすがに合図を送ると心底嫌そうな顔をするものの、小さく頷く。

「さ、行きますか」

幸村とレストルームに行く途中、慶次の悲鳴が聞こえたのは無視。
気にする幸村にも、大丈夫だと言い、周りに気づかれないように手を繋ぐ。

「さす…け」
破廉恥だぞ、と聞こえるけど聞こえないふりをする。
こういうとき、やっと幸村を独り占めできた気分。

「あ、なんか嫌な感じする…」

店のドアの前を通ろうとした時、嫌な予感がしたんだ。
ああ、なんか来るなって。

「政宗様ぁあああっ!」

盛大に店のドアを開け放ってくれちゃって…

道場破りは止めてください。




美女と熊




>>なんだこれ\(^^)/
リアルにギャグになってきました←
慶次の扱い\(^^)/
かすがが好きです。
テコニックはベースをテキーラにした、テキーラトニックの別名。
慶次はジントニックだろうという、妄想←
ロゼはドンペリのピンクのやつ。

幸村は巨乳\(^^)/←
Fってどんくらいだよ!
無いんだから基準が!無いんだからっ!←泣

あんまりデカイとちょっとな…
でも萌えるよな←


竜弥



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