「Hey!幸村…今日は節分だぜ?だから鬼とは離れねーといけねーんだ」

右目を長い前髪で隠す男、2年D組の伊達政宗は焦ったように目の前の二人を見つめる。

そんな焦った政宗に余裕の笑みを向け、小柄の亜麻色の髪を持つ青年を腕に抱いているのは同じく2年D組の長曾我部元親だ。

「え?鬼にござりますか?」

元親に後ろから抱き締められているのは1年A組の真田幸村。
幸村は元親に抱きつかれた当初は破廉恥だと叫んでいたがソレも無駄な抵抗だと理解し、今は元親の股の間に座り腕の中におとなしく納まっている。

「なんだー政宗…羨ましいんだろう」

幸村の髪に頬摺りをしながら、元親はニンマリと笑った。


「shit!幸村から離れやがれ!………oh……幸村…今から隠れ鬼しようぜ?鬼は…俺とコイツだ。昼休みが終わるまでだ。you see?」

いきなり何を言いだすのやらと元親は眉を顰めたが、言われた本人、幸村は既に腕の中から抜け出し元親の目の前にいた。

(おいおい……なにキラキラしてんだ…)

「元親殿っ!政宗殿っ!60秒数えて下され!」

幸村はそう叫びながら教室をバタバタと出ていった。
そんな幸村をポケッとみていた元親は、隣で律儀に60数え始めた男を睨んだ。

「てめぇ…邪魔したな…分け分からねぇこと言いだしやがって」
「ha!…面倒くせぇなら俺が探しに行くから、テメーはおとなしくまってな鬼さんよぉ」

政宗は笑いながら言い、元親に指を差しニヤリと断言した。


「それに…princessは鬼じゃなくてprinceが助けに行くもんだぜ?」


「おまっ…………恥ずかしくねぇ?」

「うっせぇ!俺は行くからなっ」

政宗は少し顔を赤くしつつズンズンと教室をでようとした。

が、政宗はグイッと肩を掴まれたかと思うと目の前を銀色の髪の男が走り抜けていった。

暫らく何が起きたか分からなくて呆けていたが、気が付いたのか政宗も走り始めた。

「shit!抜け駆けはズルイぜ!」

「見つけたもん勝ちだぜ?!…それに…姫さんは鬼に捕まるもんだぜ?!」

元親は政宗を振り返り、そう叫んだ。

「俺がprincessを見つけてやるからな!」

「言っとけ!じゃーな!」
元親と政宗は別々の方向を走り始めた。

姫を探しに…。







「ここまでくれば……分かるまい…」

幸村は屋上にあるタンクの隙間に身を縮めていた。

「……寒いで御座る…」


幸村はブルリと肩を震わせ白い息を手のひらにはく。
一瞬温かかった息も如月の寒気にはすぐに冷気とかし、幸村は頬を膨らませた。

「早く来て下さらぬか…馬鹿鬼め」



「だぁれが馬鹿鬼だって?!」

「っ?!!!もっもと!んぐっ?!」

いきなり現われた元親に驚いた幸村は咄嗟に大声を出そうとしたが、元親の手によってソレは防がれた。

「しっ……政宗が気付くだろ?」

幸村は何故知られたらいけないのだろうかと首を傾げながら、外された手を見つめた。


「何故気付かれたらいけぬのか分かりませぬが…ココは屋上故見つかりませぬ」
「あーはいはい…てーか、見つけたぜ」

ニッコリと元親に言われ、あ!と気付いた幸村は握られている手を見つめた。

元親はというと、幸村の手を握ったまま幸村の隣に腰掛けた。

「……この手は?」

「捕まえたからと……待たせたから」

そう元親がいうと幸村は顔を真っ赤に染め、破廉恥…と小さく呟いた後、でも温かいでござりますると言った。


それを聞いて満足したのか、元親は幸村の肩を抱き寄せ囁いた。



「捕まえたんだから…もっと破廉恥なこと…しよーぜ?なぁ?姫さん」





筋ばった手でらえられ
(やっぱり姫は鬼に掴まる運命)







>>何げに一日遅れの節分話。
親幸好きな自分がいました。

拍手100頑張ります!


竜弥


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