「もっもももっ元親殿っ!!」
「うっせぇっ!耳許で騒ぐんじゃねえって!」
「しっしかしっっ!」
「だーらっ、しっかり掴まっときゃ大丈夫だって」
「いやいやいやっ!ブレーキ効かないなんて聞いてないでござるぁああ!」
「俺も聞いてねえよっ!!っ…うおああっ!」

自転車から投げ出される身体…。
…死んだと思う。




真夏の真っ昼間。風を受けながら自転車をこぐと暑さも吹っ飛ぶ、と言われ半信半疑で荷台に乗った。
授業も午前中で終わり。部活も…無い。
そこまではなんだか上手くいってた気がするのに…。
二人分の重さに既に堪えきれない自転車が悲鳴をあげるのも無視。そんななか、河川敷へと続く道の前、恐怖の坂道。
自分を後ろに乗っけたまま、前の隻眼はどこかの暴走族よろしく奇声をあげる。馬鹿だなと思いつつも、吹っ飛ばされそうなぐらいの速さなので前の大きな背中に抱きついた。
いい加減速すぎると、筋肉しかない掴みにくい腹部の皮を指でつねってやると、奇声を悲鳴に変えた隻眼がブレーキを押す。

……。

もう一度。

…。

視線の先のブレーキはカチャカチャと押す虚しい音のみ響かせる。速度は増すばかり。
幸いあと数メートルで坂は終わり。
しかし、後は、道のすこぶる悪い河川敷のみ。
そして、冒頭に至る。


物凄い衝撃を覚悟してたのに、あまり痛みはなかった。
ああ、死んだからか?などと思いながら目を開けると、ドアップ。

「っっっ!破廉恥ぃいい!!」
「いってぇええ!」

洒落にならないくらい近かった元親の顔面を拳を握りしめ殴ってしまった。
草の上に顔を埋めた(めり込んだ?)元親に近づき、自転車になんて乗らなければよかった。
と、手を合わせていたら、ガシリと手を掴まれ物凄い形相を此方に向けてきたので、にこりと笑ってみた。
「ゆーきーむーらぁ…お前…」
「良かったでござる、よくぞ生きておられました」
「ふっざけ…ここで犯されてぇか」
「ばっ!うぉあっ」
「折角人が華麗なるアクロバッティックでお前助けたっつーのに…犯してやる」「ばっばっばかっ!破廉恥!だれかー!犯されるでござらぁああ!」
「残念だったな…ここは昼間は誰も通らねぇんだよ」
ここの河川敷の先には学校しかないから、朝と夕の学生しか通らない。
逃げをうとうとしたが大きな身体に抱き締められる。
暫く相手の様子を窺っていたが、同時に弾かれたように離れた。

「あっちー!!」
「暑苦しいでござらぁああ!」

二人で仰向けになって空を見る。雲一つない晴天で、ジリジリと焦がしてくる太陽は剥き出し。暑いってもんじゃない。
ふと、隣から視線を感じた幸村はチラリと視線を元親へと移した。

「なんでござるか…」
「いんや…なんか汗かいてるお前ってやらしいなって、」

そういってヘラリと笑った元親を無視して逆方向に身体を反転させる。
草が柔らかくて擽ったかった。

「ひっで、無視かよ…。あーあ…自転車どうしよ…」
ざまあみろと心の中で思っていたら、次の言葉に飛び起きる嵌めになった。

「俺のじゃねーんだよな…」
「はっ?!」
「だって俺はバイクだろ?」
何をいけしゃあしゃあと。
辺りを見渡すとすぐ近くに無惨にも変な方向に曲がったまま倒れている自転車があった。

「慶次のだからいっか、」
哀れ慶次殿、と思うだけ思っていたらグイッと引っ張られて仰向けにされた。

「な…」
「気分転換なったろ…」

そう言ってニッコリ笑った元親はバタリと隣に寝転がった。

「……お節介でござる」
「世話焼きと言って欲しいな…」

元親が草の上に寝転がっているのを見つめていると、眩しいほどの笑顔を向けられて、そのあとの言葉に一瞬息が詰まった。

「俺…走ってるお前見んの好きだからさ…」
「……うん…」

暑いのもお構い無しに手を握られた。なんだか泣けてきて、二人分の汗でジトリとする手をこれでもかと握りしめることで堪えた。
それを見ていた元親は幸村の額にキスを落として、また屈託無く笑った。


青い草の香りを二人で嗅いだ




>>学パロ親幸(・ω・)
幸村は部活(陸上部)のスランプかかえてて、それを見かねた親ちゃんってな感じ?←
哀れ慶次(`∀´)!
親と幸は引っ付いてますを←

自分もスランプだからさ(・ω・)←
スランプで傷心幸村にもへっ(_´Д`)ノ←


竜弥




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