槍をがむしゃらに振っていた手が止まり、空を仰ぐ。長い襟足は今日も結われること無く風に靡いていた。
「幸坊…どうしたんだい」
声をかけると一瞬驚いたのか肩を上下させ、此方を振り返る。その不貞腐れた様な顔に持っていた煙管を落としそうになった。(笑いそうになって、)

「お江…その呼び方は止めてくれと…申したでござる…」

そう吐き捨てるように言い、また空を見上げる。
煙管の中身を棄て定位置に戻す。そして、幸村の前にお江は口角を上げたまま降り立った。

「…そんな生意気を言うのは」

この口だね。
と、後退りした幸村に間合いを詰め幸村の頬を両の手で左右に引っ張る。

「いっ…いひゃっ…いぃ」
「分かりやすすぎるよ、幸坊は…」
「ひゃに…」
「今日戻るって黒嘸が報せにきたよ」

みるみる内に変わる幸村の顔を見てお江は笑った。
やっと外された頬を擦りながら幸村はまた不貞腐れた顔をする。
笑いをそこそこにし、槍を振り始めた幸村に声をかけた。

「髪、結ってやろうか?」
「…アヤツは、結うのが上手いから…な」

これでもかと言うほど嬉しそうな笑みを向けられ、お江は肩を竦めた。

「なんだか、当てられちまったね、アタシも…アイツも」

今しがた帰ったのか、幸村の頭上を嬉しそうに飛んでいる黒嘸を見上げ、お江は笑った。




勝利は君のものだ




>>捏造キャラ、くの一、長のお江です。
スランプなんですすみません。
ほんのり佐幸で←
黒嘸だけ帰ってきたのは佐助さんは幸村の言葉に当てられたからです。はい。その辺の屋根の上でゴロゴロしてると…。あれ、なんかわからんな。

竜弥





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