自分とは全く無縁の、パッケージからして甘そうなお菓子がズラリと並んだ棚の前で、うんうんと本気で唸る人物を見て肩を竦めた。
よくもまぁ、あんな甘そうなものを。
悩みの種は、新しく出た(らしい)ポッキーとやら。ご丁寧に、2つ同時に出たものだからこうやって悩むお子様が増えるんじゃないかと、頭を抱えたくなる。
なんだよ…パンプキンケーキとモンブランて…。
ああ、秋だからね…。と、呆れてチラリとみたパッケージには案の定、秋限定なんてものが書いてあった。
限定ものに弱いからなあと、悩んでいる人物の横でわざとため息をついてみた。

「おお、佐助…これはどちらの方がいいと思う」

あーあ、逆効果だったよ…。選択迫られちゃったんだけど。
当たり障りなく、どっちでもおいしいと思うよ、と伝え店内をグルリとまわることにした。
きっとあと数分は唸ってる。

雑貨に化粧品など本当にコンビニはいろいろあるなぁと、どっかの中年のようなことを思いながら、目にとまった。アレ。
ああ、そう言えば、昨日きれたなと頭の片隅で思い出し、その毒々しいまでのパッケージの箱を手に取る。
なんでこんな色合いにすんだろうね。なんて、冷めた目で見ていたら隣から声がかかる。
持っていたものがモノなので、些か驚いた。

「ん?佐助は何を買ったのだ?」

しかも、相手が旦那だった。
しまったとか思った時には、手の中のものは奪われていて今は旦那の左手の中にある。
右手にはちゃっかり2つの箱を持っていた。

「え…ちょ、旦那っ」


「…………む?……これは…どこかで…」

幸村は暫く思考を巡らせていたが、ハッと気づいたように顔を真っ赤にさせ始めた。
左手の中のものを佐助に押し返しジトリと睨めあげる。
右手の菓子箱は少々潰れていた。
ああ、もうあれ、買わなきゃいけないじゃない。と、内心苦笑しつつ幸村の視線から逸らす。

「な…なにに…使うのだ…」

ちょっと、こんなところでそれの使い道言えなんて言うのか。分かってるくせに。
些か驚いて幸村を見ると、湯気が出るんじゃないかってぐらい顔を真っ赤にしていた。

「だからさ…もう無くなっちゃったからさ…買わないと…」
「こっこのようなところで買うなんて…はっ破廉恥極まりないっ!」
「ちょっと、声デカイって!じゃあどこで買うのよ…」

佐助は幸村の右手の今にも本気で潰れてしまいそうな菓子箱を取り上げながら言う。

「え……」

それもそうだ。幸村が自分でコレを買ったことなどない。まさかコンビニにあるとは思っていなかったのだろう。
むしろ、今だにコレがなんなのか分かっているのかさえ心配になるぐらいだ。

「ドラッグストアのほうが安いけどさ、旦那あそこ嫌いでしょ」
「むぅ…」

薬の匂いが嫌いなのか、ドラッグストアには行きたがらない。
と言っても、実際薬の匂いなんて全くしない。
要するに、飲んだりする薬自体が嫌いで変に毛嫌いしているだけだけど、と目の前の真っ赤な顔を見て少し笑った。

「……安いって………よく買いに行くのか…」
「んーまぁ…ね。」

変な所で目敏いなと、佐助は頭をかく。

「そ…そんなに頻繁に買っておるのか?!」

曖昧な返事をしたからそうとったのか、幸村は佐助を訝しげな顔で見上げる。

「あんた…それ俺様が鬼畜に聞こえる…」
「だっ…て」

目もと真っ赤にして涙なんか溜めちゃって…この人、煽ってんのかねぇ。まあ、天然だから困りものだけれど。
佐助はそう口には出さずに、深くため息を吐き幸村に向かって言葉を投げた。

「だってってねぇ、生でやると後辛いのは旦那でしょー、俺様旦那に辛いことさせたくないし」
「っ……」

何か言いだそうとする幸村の言葉を遮る。

「それに、買うのだって勇気がいるんだよー。でも、旦那のためを思って俺様買ってるのに酷い」
「あ…う……」

早口で捲し立てると、もう何も言えないのか口をパクパクと開閉させるだけで、大人しくなった。
それをいいことに、佐助は内心ほくそ笑む。

「そうだ…今度の罰ゲームは負けた人がコレ買いに来ることにしよう」
「ば…罰ゲーム?」
「そ…早くイッちゃった方が負け」
「んなっ!?そそそそんなのっ…お…俺が…」
「不利じゃないかって?…だーかーらー、我慢すればいいでしょーに。よし、買いに行くよ」

そう言って逃げ腰の幸村の腕シッカリとつかむ。

「かっ買うの…またにしないか…」
「だから、もう無いってば…それとも…」
顔を真っ赤にしてうろたえる幸村に佐助は口端を上げ、腕を引きよせ耳元で囁いた。

「お腹こわしちゃっていーの?」

「ばっ!!!!!!」

「お前らさ…そう言う話は表出てやりやがれっ」

叫ぼうとして頭にポスリと何かが乗り、すぐ後ろで知った声がした。
幸村は恐る恐る後ろを振り向く。
そこには、呆れ顔の銀髪の眼帯。佐助と同じクラスの元親がいた。

「もっ元親殿…いっいつのまに」

頭に置かれた、逞しい腕を恐る恐る退けながら幸村が吃る。

「あー、そっか、今からのシフト確か親ちゃんだったね、あ、コレお願いしまーす」

潰れた菓子箱と毒々しいまでの箱を元親に手渡し佐助はレジに並ぶ。
それにソワソワしながらも続く。

「たかが、ゴム買うだけで騒ぐなよ、お前らどっかの中坊かよ」

レジを打ち終わり、袋に入れながら言う。

「違うよ、旦那にとっては大イベントなんだって…ねー旦那」

ケラケラと笑いお金を出す。

「そーかい、ほらよ。幸村」
元親はこれまた呆れたように佐助を見やり、幸村に袋を手渡した。
小さく、ありがとうございまする。と言った幸村に苦笑する。

「んじゃ、どーも、親ちゃん頑張ってね」

「……あいつも大概、Sだよなぁ」
気持ち悪いほどの上機嫌な佐助と、未だに耳まで真っ赤にさせている幸村の後ろ姿に元親は呟いた。



知らなかったなんて今更うのか
(そんなこと知りたくなかった)




>>お下品!!!(え
本当にすみません!これこそ駄文!やまなしおちなしいみなし。
つか、お下品。
きてぃくな佐助が書きたかったんです。
バイト中に考えてました(ええ
結構買われて行くんですよね(遠い目)
友人が袋に入れる時に落した時は、3人(私、友人、お客)大変居た堪れなかったです(爆)

竜弥



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