「さっ!がんばろう!!」

眼鏡をつけながらウトウトとしていた佐助の耳に大きな声が突き刺さり、佐助は眉を顰めながら隣の声をした方を見た。
隣では、新任古典教師の真田幸村が、鼻歌を歌いながら楽しそうに古典プリントを作っていた。
しかも、手書きで。

「……元気ですね真田先生。手書きですか」

佐助は机の上に積み重ねてあったプリントの山から一枚プリントを抜き去り、目を通す。

「あ…すっすみません……起こしてしまいましたか」

あの声じゃあ、起きたくてなくても起きなきゃ可笑しいでしょ。
と心の中で呟きながら、佐助は「構いませんよ。起きようと思っていましたし」と、笑顔を向けた。
そんな佐助に幸村は眉を顰めながら言う。


「すみません…地声がどうもでかくなってしまって……」

「元気がいいのはいいことですよ…あの…真田先生はパソコンでやられないのですか?」

佐助はプリントを幸村に渡しながら言う。
プリントは手書きでとても丁寧に書かれていた。
ちなみに今とったのは、問題児伊達政宗のもので、文句無しの満点だった。

あいつ、俺の数学は名前すら書かねえくせに…たしか、元親の地理もだって言ってたな…
と、佐助は思い出し呟いた。

「あいつも餓鬼だねぇ…」


「え…?」

「あ…いいえ、こちらの話ですよ」

よく聞き取れなかったのか聞き返した幸村に笑顔で応えた。


「そうですか?……あ、さっきの話なんですが、お恥ずかしい話、パソコンは持っているのですが……その…使い方が分からなくて…」

「ああ、それは勿体ないですね…俺で良かったらお教えしますよ?」

今の流れなら普通はこういうのが無難だろう。
なのに…椅子を後ろにふっ飛ばして(元親の蛙が潰れたみたいな声が聞こえた全面無視しておこう)キラキラした瞳をこちらに向けてくる。


「本当ですか?!」

「…え……えぇ…パソコンぐらいいくらでもお教えしますが…」

あまりの声に圧倒された。
目の前のキラキラした瞳が…眩しい。

「ありがとうございます!!!」

……。
しばらく、反応できなかった。
なんだ今のは。今のはなんだ。(反語?)

あんな屈託のない…笑顔…見たことあったっけ。
少年…そう………純粋な少年のような屈託のない笑顔…。
いくつですか…彼は。

当人はとっくに自分の席に戻って、椅子が無いことに気が付き、後ろから腰を押さえた元親に平謝りをしていた。


佐助は一気に顔に上昇する血液を感じながら、口元がゆるむのか口元を隠した。


嘘だろ……。




少年のような
(冗談だろう?本気になんて…なるはずない!)



>>先生×先生パロの続きみたいなもの(え
古典のテストを彼はきっと手書きで書いていると思いまして。
いや、小テストは手書きだろうか?
アタシはPCに頼りますよ、うん。
佐助さんはらぐーろ。
親さん不憫。

竜弥




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