遠目で見ていてもあなたは気付いてくれるから。

この恋情じみた可笑しな感情が治まることはないんだ。


激情にを侵されて




「甚八…いるのだろう?」
団子の串をクルクルと弄んでいた幸村が唐突に、しかし優しげな顔を庭に向けたまま名を呼ぶ。

しばらく静まり返ったように、庭の鳥の囀り以外聞こえなかったが、幸村の背後に影が静かに降り立った。
ボサリとした茶の髪をかきながら、気恥ずかしそうに口元に笑みを携える忍。
水軍指揮と影武者をする根津甚八だ。


「影から見ずとも…でてくれば良いものを」

幸村は縁側の縁に足をプラプラさせながら笑う。
甚八はふわりと庭に降り立ち、幸村の前に膝まづく。
「顔を上げよ…そう堅苦しくなるな」

幸村は団子の串を皿に置き、目の前の甚八を見やる。
「今日は…良い天気だな……なあ甚八…散歩でも行くか」

いきなりの提案に焦りながら幸村を見た甚八だったが、すぐに幸村に腕を掴まれる。

「っ?!」

「城の周りだけだ…良いだろう?……甚八もおる!心配はない」

ニッコリと笑い、甚八に了承を得ようとする幸村に、ボサボサの髪をかきながら苦笑した。


「幸村様には…適いません」

幸村は一瞬目を丸くしたが、嬉しそうに笑った。


甚八が久しぶりに口にした言葉は、今は幸村しか聞いていない。

甚八は頬を赤らめながら、幸村が掴む手の温かさに、幸せそうに笑った。



(これが恋慕と言うなら、
仕方がないじゃないか。)





>>甚八→幸村。
甚八は茶色の髪の毛でボサボサだとという…趣味。
意味が分からない。
甚八は小太郎と同じように喋らないのがいいな。←


竜弥


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