緩やかな時間が流れる。
小春日和が気持ちいい。

それに加えて、頭を撫でられる心地よさ。
目蓋が重い、眠くなりそうだ。



「ねえ…俺様……幸せ者だよね」

撫でる手が一瞬とまって、またやんわり撫でられる。

「そうか」


頭上からの柔らかい声。


いや、俺様…なんでこんな状態になってんだろ。
まあ、嬉しいんだけどさ。
つっても、まずいでしょ。


「やっぱりまずくない…?」

俺は主である旦那に、縁側で膝枕をしてもらっている。

上半身をさっきから起こそうとするんだけど、旦那が頭を膝に押しつけてきて、それもままならない。


「ね…旦那……」

「なんだ…いやか?」


旦那のションボリした声に焦る俺。

嫌なわけないじゃない。幸せって言ったじゃん。


俺は旦那の手を掴み自分の唇に持っていく。


「っ…」


ビクリと震える旦那に苦笑して、音を立て旦那の手に口付ける。


「なんで…いきなり膝枕?」

手のひらに唇を押しつけながら喋る。

きっと、旦那の顔は真っ赤。
口付ける手が熱い。


「…………甘やかせたかったのだ…佐助を…」


「……なんでまた」

俺は旦那の膝に後頭部を乗せ、旦那を下から見上げる。

「なんで甘やかせたかったの?」

指に指を絡めながら優しく問う。

「いつも……某ばかりが…甘やかされているから……佐助も甘やかせたいと思っただけだ…」


旦那の顔が赤くなりながら、もごもごと可愛い事言うもんだから、顔がめちゃくちゃ緩む。


「わ…笑うな……」

「笑ってない笑ってない…」

拗ねたように尖らせる旦那の唇に指を這わす。


「ン……破廉恥であるぞ…さすけ…」

「旦那の方が破廉恥だよ…」


俺はニンマリと笑みを浮かべ、旦那の後頭部に手を添える。


「もっと……甘やかせてよ…だんな…」


そう言って、グイッと後頭部を押す。

近づく旦那の顔、旦那の唇の寸ででピタリと止める。

「旦那が…甘やかせてくれるんでしょ?」

だったら、ね。


そう目で合図を送る。


「……はれんち…」


幸村は観念したように、でも微笑を携え、佐助に口付けた。



「……やっぱり…幸せだな…」






やかせてあげたいの
(ほら、ふたりともこんなにもしあわせだ!)





>>佐助を甘やかしてあげたい幸村を書きたかった。撃沈。
途中で挫折。
ズバリと切っちゃいました。
もっといろいろいれるつもりが。。。
時間が経って書くと…あら大変。ってのがよくわかりました。


竜弥



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