「幸ちゃんー!」
ドフウッ!と音をたて、主君にタックルをかましたのは、これまた主君に似た顔立ちの青年。
「ブッ…こっこっ小介!痛いでござるっ!」
幸村は赤い鉢巻きをはためかせ頭をブンブンと振る。
幸村が戦ではないときには必ずといっていいほどある光景だ。
幸村似の青年、小介は嫌だと頭を振る幸村の腹にガシリと抱きついて離れない。
「幸ちゃん!幸ちゃんっ!オレと一緒に団子食いにいこ?」
小介のその言葉にピクリと反応を示し、頭を振るのをやめた。
「まことか?小介!」
「まことまこと!」
ニーィッコリと笑顔を張り付け幸村の首に腕を巻き付ける。
そして、顔を近づける。
「幸ちゃんがオレにチュウしてくれたら…」
ガツンッ!と真田邸に響き渡るような音が轟いたかと思うと、幸村の目の前で小介が頭をおさえてうずくまっていた。
幸村はどうしたのかと、小介に駆け寄ろうとして、ひょいっと宙に浮いた。
「うわわっ……さっさすけ?!」
浮いたまま後ろを振り向くと、ニコリと微笑む佐助と目が合った。
「くっそー…さっちゃんひどいー!」
小介は涙を溜めながら佐助を見上げる。
「俺にはそれは通用しません…六郎とかにやんなさいよ」
佐助はため息をつきながら言う。
小介は本当に幸村に似ているので、時々小介の悪戯によって被害者がでることが多い。
しかし、佐助は一回も引っ掛かったことは無い。
「チッ……やっぱダメか」
「こらこら、旦那似の顔でそんな下品な物言いしなさんなって……こら、旦那…暴れないの」
佐助は脇に抱えた幸村をみやる。
ジタバタとどうにか佐助から降りようとしているのが可笑しい。
「はな…せっ!佐助離さぬか!某は幼子ではない!」
「あーほらほら…暴れたら団子やんないよ?」
佐助はどこから取り出したのか、もう片方の空いている手の上に団子が乗った皿を持っていた。
「ぬおっ!」
幸村はピタリと暴れるのをやめた。
「はやく食べようぞ!佐助!」
ウキウキとした顔を佐助に向けると、優しい笑みで返された。
「はいはい、わかりましたよっと……ほら…小介……お前も食べるなら茶ぁの準備してきな?」
そう言った佐助を小介はギラリと睨めつけ、スクリと立ち上がり叫んだ。
「今回は幸ちゃん貸してあげるよ馬鹿さっちゃん!」
舌を出し膨れっ面のまま小介は消えた。
「あららー……小介もまだまだガキだねぇ」
そう苦笑して佐助は幸村を縁側に座らせ団子を渡した。
「ま…俺も…ね」
「ぬぅ?…なにか申したか佐助…?」
口にみたらし団子のタレを付けながら隣に座る佐助を見上げる。
「いーや?……旦那…口についてるよ」
佐助はそう言って幸村の口のまわりについたタレを手で掬い舐めとった。
「ん!すまない佐助!」
こういうことにはどうして破廉恥だのとは言わないのかねぇ、と喉の奥でくつくつと笑う。
「何を笑うのだ佐助!」
「はは…旦那も俺も小介もまだまだってことだよ」
聞き分けのいい大人にはなりたくない
(まだまだガキのままでいい)
fin...
>>佐幸←小介のような駄文…
あまりにも駄文すぎて涙が。