あれから気付いたら佐助と出会ってから、2ヶ月が経とうとしていた。
もう季節は秋に変わろうとしている。
夏休みは今日で終わりだ。
「夏…終わりそうだね…」
「そうだな…」
ポツリと隣にいる佐助が呟いたのを拾う。
今では隣に佐助がいることが当たり前みたいになっていて、とても不思議な気持ちで一杯だ。
それに、何故か懐かしい気持ちになるのだ。
可笑しな話だ。幽霊だというのに、佐助の隣が心地好い。
「旦那…」
「…ん?」
呼ばれて横を向くとヒヤリとした手のひらに頬を撫でられた。
佐助を見るとどこか悲しそうなそんな瞳を向けられた。
「…?」
佐助の顔が近づいてきて額に唇が押し当てられた。吃驚した顔を向けると今度は頬にされた。
その後佐助に強く抱き締められた。佐助の身体はやっぱりヒンヤリとして、足や手がいつもより薄くなっていることに気づいていた。
だから、何故だかそれに涙が込み上げてきた。
「言わないつもりだったんだ…でも、無理…みたい」
そう言って、耳元で囁かれた言葉に、いきなり何かに殴られたかのような鈍い痛みが頭に走った。
咄嗟に目を瞑る。流れてくる、映像。フラッシュバック…。
「っ…さ…すけ…」
「旦那…?!」
無我夢中で佐助に手を伸ばし助けを求め佐助にしがみつく。佐助の声が耳に響く。
あれは…何時の…
人が沢山倒れている。戦場(いくさば)…?
その中に…血とはまた違う…赤。
あれは…きっと、自分。
その腕には…忍。
『来世で…待ってても…いい?旦那…』
『莫迦者っ…待っておらぬとっ…給与無しだ』
『うっわ、ひでぇな…旦那。……ねぇ、最期に…一つだけ…聞いて…くれる?』
ヘラリと笑った忍が『佐助』と被る。
『なんだ…申してみろ…』
『……あの…ね…旦那……俺…』
『佐助…?…佐助?!』
自分の、『幸村』の悲痛な叫びが頭に響いて、辺りが真っ暗になる。
次に流れ込んできた映像は後から流れ込んでくる映像と同じだった。
『猿飛佐助…?聞かない名前だな…』
『そう…ですか、』
いつの時代も、『佐助』を探していた。
どうして今の自分は忘れていたのか分からないが、漸く、欠けていた何かが埋まって満たされていく。
『幸村』は『佐助』を…
「佐助…探したぞ、莫迦者…待っておれと言っただろう」
幸村は佐助の首筋に顔を埋め抱きついた。間違いなく、彼は『佐助』だ。
「なっ…旦那…思いだし…たの」
「ああ…だから涙が止まらない」
佐助はぼろぼろと泣き出した幸村の涙を舐め、小さく囁いた。
「キス…してもいいですか…ここに」
唇に親指の腹で優しく触れられる、もっと触って欲しかった、でもそれよりも言葉が欲しかった。
「その前に…もう一度…言ってくれ…」
そう言って佐助を見るといつの間にか泣いていて笑ってしまった。
佐助は泣きながら笑った。
『俺、旦那が好き…です』
「な…んで…身体…透けて…」
自分だって透けてるじゃないか、と笑うと、笑い事じゃないという顔の佐助に苦笑した。
「幽霊なのに幽霊が分からないとは…まぁ、自分ですら死んでいたなんてさっきまで気がつかなかったんだが…」
お前と一緒みたいだ。未練もなくなった。
そう言うとまだ信じられないといった佐助の顔。
「な…に…それ…」
「これで俺もお前も成仏できるだろ」
「そんなっ…」
折角会えたのに…また会えなくなるなんて…。
そう言った佐助の頭を撫でてやる。
「…大丈夫」
もう離れはしないから。
「…そう…だね、」
佐助はくつりと笑って子どもみたいに擦りついてきた。
「大好き…旦那…」
そう言った佐助に唇にキスされて、互いに鼻を擦り合わせて何度もキスを繰り返した。
「ねぇお母さん、お隣さんはお引っ越ししたの?」
「…何言ってるの…お隣さんなんて最初からいなかったでしょ?」
「え、だってお兄ちゃん二人いたでしょ?」
「もう、いつも作り話して…あら…お引っ越しですか?」
「え…ああ…今日からお世話になります、隣にこしてきた猿飛と…」
「真田っていいます宜しくお願いします」
「まぁ。宜しくお願いしますね」
「あ、お兄ちゃん達…お帰りなさい」
「え…?」
「あら、この子ったら…すみません」
「いいえ…」
母と子を見送ってから栗毛の青年、幸村はニコリと微笑んで隣の青年、佐助を見上げた。
「お帰りって……佐助…」
「…そうだね、」
佐助は幸村の手を握り、アパートのドアを開けた。
「「ただいま」」
終焉のその先を君と
>>一応、これで終わりです。
残暑企画なのに…いつまで残暑なんだと(・ω・)←
話が纏まらなくて泣きたくなりました。最後の終わり方が右往左往して(__)
不発です。伝えたいことが伝えられなかった(´-ω-`)
佐助は霊体のままさ迷ってて幸村は力が強いから霊体ではなくて実体化できていた的な話です←超アバウト
締めはhappyendで…。
間の話とか書こうと思いましたが…なんか書いてて分からなくなって(´-ω-`)すみません。
おそくなりましたが、残暑企画でした\(^^)/
竜弥