ずっと探してた。
逢いたかった。
やっと、
やっと見つけたよ…旦那
「ん…夢…」
なんの夢だったか、どんな感じだったかすら思い出せない。良い夢か悪い夢かさえ分からない。
暑さの所為かはたまたさっきの夢の所為か、自分のパジャマはグッショリと汗で濡れていた。
「…最悪」
暫くボーっとしていたが、じめじめと暑くて頭が沸いてしまいそうだったのでベッドから飛び起き脱衣所に足を運んだ。
パジャマを脱ぎ捨て風呂場に入ってシャワーを頭から浴びる。
真夏の朝にはもってこいだ。しかも、今日から夏休み。大学は休み。サークルに入っていない自分は、ハッキリ言ってバイトだけしかしない超暇人になるのだ。
さしてやることはないのだが、夏休みというものは楽しい気分になる。
そうこう考えながら浴びていると、ふ、と寒気がしてシャワーを止めた。目の前の鏡を何と無しに見詰める。
自分の目を一瞬疑った。そして暫く口を開けたまま静止してしまった。
だって…まさか…そんな。
「えっ、まさか俺様のこと見えるの?」
喋った。
「っっっ?!」
バッと後ろを振り向くと男が立っていた。違う。浮いていた。
「ぎっぎゃあああっ!ゆっ幽霊でござらぁあああ!」
「ちょっと、そんな下等生物と一緒にしないでよ、足あるでしょ」
なんだか普通に喋ってくる。自分は全裸なのも忘れてその場に座り込んだ。(正しくは腰が抜けた)
「だっ…だって…すけっ…透けて」
「ありゃー…実現化はチッと無理だったかぁ」
幽霊(と思われる物体)は自分の身体を見て少しガッカリしたように言った。
「あ、真田の旦那…」
「なんで…名前…っ」
「俺様は何でも分かるんです。…俺様は佐助つーの、俺様…旦那のこと気に入っちゃった…暫くここにおいてくんない?」
何を言い出すかと思えば、この幽霊…。
ああそうか、油断した隙を狙って魂を吸われたりするんじゃないだろうか…ああ絶対にそうだ。
だって、こんなチャラチャラしたいかにも遊んでますみたいな幽霊、絶対にそうに違いない。
「いかにも遊んでます…ね、まぁ…試してみる?」
こっこやつ、人の心が読めるのかと焦っていたら、ヒンヤリとしたものが頬に触れ思わず目を瞑った。
すると今度は唇にヒンヤリしたものが押し付けられ驚いて目を開けた。
目の前には先程の幽霊。
橙の髪の毛が頬に触れて擽ったい。翡翠の瞳に吸い込まれそうになった。
そこでやっと、今の自分の状況を把握して目の前の男をぶん殴っていた。
「きっきすっ?!…はっ…破廉恥ぃいいっ」
幽霊は風呂場の床に沈没し、自分はというと幽霊をまたぎ部屋に戻った。
今までのは夢であったと自分に暗示をかけながら冷蔵庫を開けて、牛乳をパックのまま飲む。
「あーあ、ちゃんとコップに入れて飲まなきゃ次の人が飲めないでしょー?」
そんな声が聞こえて、目の前にさっきの幽霊が現れて、牛乳を吹いてしまった。
「ちょっと!俺様にかかったじゃん!」
「なっ…」
口を拭き牛乳まみれの幽霊を指差す。
つか、なんで幽霊なのに触れたり牛乳かぶったりするんだ。
「最近の幽霊はそんなもんなのー」
やっぱり幽霊ではないかっ!
「さっき気に入ったっていったじゃん…それとね、俺、この世に未練があるみたいなんだわ…だから…さ、」
ニッコリと笑った幽霊はとても残酷な言葉を言ってのけた。
「暇なら、俺が成仏出来るの手伝って?」
いま自分が成仏したいと思った。
後編へ
>>幽霊佐助×幸村です。
前後編になってごめんなさい。
しかも後編は飛びます話が。間の話は、まぁいつか。←
書きたいなとは思ってます。
後編はまさかの展開でhappyendで終わらせたいと思ってます。
というか、最後だけは書いてるんですが…すみません暫くお待ちを←
竜弥