2009/09/06 17:53



かすがとゆきむらときどきさすけ




「かすが殿、その様な幹の上にいらっしゃらずこちらにいらしたらどうですか」
昼の訓練を終え、才蔵が用意した甘味屋の団子を食べようと縁側に座った幸村だったが、先程からかすがの視線が気になり声をかけた。
「…別にお前など見ていない」
「えっと…あ、団子ですか」
「団子になど興味はない」
幸村は頭を傾げつつも、隣に降り立ったかすがに微笑んだ。

「あいにく佐助は任務に出ておりまして…」
「奴になど用事はない」

言葉を遮られ幸村はポカンとかすがを見上げる。

「…これをやる」
「え……あっあの!かすが殿っ!これはいったい……ああ…行かれてしまった」
胸元に押し付けられたものと白い梟にぶら下がり空に舞うかすがを交互に見つめ再び頭を傾げた。

「…ちょこれいと……?」
奥州の伊達政宗から贈られてきた、異国のお菓子と同じ匂いがし幸村は呟いた。
「あーらら…旦那ったら…モテるんだから…」
「佐助っ!ビックリするではないかっ!!」

いきなり逆さまに現れた佐助に驚き、声をあげる。
佐助は少し笑いながら幸村の前に降り立った。

「竜の旦那が言ってたよ、この時期に女は好意を持った男にちょこれいとをあげるんだってさ……で、これが竜の旦那から預かったちょこれいと」

ニッコリと笑った佐助の手に乗った粉々の茶のものはちょこれいとだったのだな、と、幸村は頭の片隅で考える。
無駄に笑う佐助はその「ちょこれいと」だったものを、庭を通り越え城の外に投げ飛ばした。
幸村は気にもせず頭を傾げる。

「それならば…かすが殿は渡す相手をお間違いでは…」
そう言って佐助をチラリと見つめる。

「…ちょっとなんの勘違いしてんのさ…うすら寒い…」

かすがが好きなのはあんただよ、とは絶対に言ってやらない。
かすがを妙に意識されても困る。

佐助は幸村の耳許に唇を寄せた。

「俺様…嫉妬しちゃいそう…」

そう囁き今度は唇に接吻しようと近づいたのだが、幸村の次の言葉に頭を項垂れることしかできなかった。

「………すまぬ…俺に嫉妬とは……かすが殿にも悪いことをした…」

幸村の真っ直ぐな瞳に佐助はため息をついた。

「あんたにじゃないよ…」


天然にも困りもの




>>バレンタイン文二弾はかす幸にしようとしたのに…。
佐助が出張りました。
帰ってきました伊達のとこから(^^)
哀れ伊達\(^^)/

竜弥



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