くすんでしまった、そんな感じ。君を見ると、そのほかの物が全てくすんでしまうような。そんな盲目的な恋を、俺はしてしまった。





はじめはなんてことない、何時もの会話。たしか、おはよう、とかそんな感じのたわいも無いもの。ただ何時もすました顔をしている海斗がその日は何やらご機嫌で、何故かそのたわいない挨拶に笑顔がついてきた。何時もあまり笑わないやつだから(鼻で笑われることはよくある)その笑顔は俺にはやけに際立って見えて、何故か凝視してしまったのが敗因。すぐに何時もの顔に戻った海斗のたった一瞬の笑顔を、俺は忘れることが出来なかった。授業中うとうとと目を閉じれば、すぐにその笑顔が浮かんできて、慌てて顔を上げれば白い綺麗なうなじが目に飛び込んでくる。なんとなく照れてしまって、また俯いてしまった。何をしているんだ、俺は。ううう、と唸ると、口五月蝿い担任に案の定咎められてしまった。うるせーよ!でもやっぱり授業には集中出来なくて、俺は思考の海に沈んでいく。この感情は何なのか。俺はその答えを出さなければいけない。でなければ落ち着いて暮らすことが出来ない。
気がつけば目で追っていて、頭の中ではあいつのことばかり考える。それはなんだか結構馴染み深い感情のような気がして。もう少しでその名前を思い出せるような、そんな気がしたのだけれど。

「陽介」

涼やかな声が響いて、俺の思考は止まる。気づけば授業は終わっていて、海斗が振り向いていた。

「陽介、どうかしたか?」

心地よい声が響く。海斗の声はひどく澄んでいて、

「馬鹿みたいにぼんやりしてるぞ、眠いのか?」

憎まれ口だって心地よい。その声に比べたら、他のやつらの声なんて雑音にしか聞こえないくらいに。

「あんまり夜更かしはするなよ」

珍しく心配されたりなんかして。声だけじゃない、海斗の全てが他とは比べものにならないほど綺麗に思えた。

「陽介…聞いてるか?」

そして、答えにたどり着いた。今思えば、すぐに気づかないのがおかしなくらいに分かり易いものだったのだけれど。

「海斗、」

「お、ようやく喋った」

「付き合って下さい」

「……は?」



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主人公が好きすぎる陽介が書きたかった、という言い訳(←
楽しかったですけどね!


(加筆修正後 / 気持ち悪いなこいつ!←酷い。でもこういうのは書きやすい)






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