「先輩」

「何だ」

「暑苦しいです」

春もそろそろ終わり、季節は夏になろうとしているのに。なんなんだろうこの人は。
そう考えてから湊は背後からガッチリと回されている腕をぺちぺちと叩く。

「暑苦しいとは失礼な…」

「暑いものは暑いんです。もう初夏なんですよ?時期を考えて下さい」

言うと、先程よりも僅かに力を込めらて、ぎゅう、と抱き締められる。

……日本語が通じない。

今日は日曜日で学校は休み。特に予定も無かったし、先輩兼恋人の真田先輩の所にお邪魔して(一応恋人な訳だし、休みの日くらいは、ね)みたものの、先程からずっとこの調子だ。ちなみに詳しく説明すると、俺がベッドの縁に腰掛け、真田先輩がベッドに乗って後ろから抱き付いている状態。俺の体は先輩の足の間にすっぽり収まっている。正直暑い。暇だし。
仕方が無いので近くにあったリモコンでテレビをつける。あ、たなか社長だ。

「…有里、」

「何ですか先輩。離す気になりましたか」

「ならない」

「…………」

何なんだこの人は。全く持って何がしたいのか分からない。
さすがにイライラしてきた有里は、率直に聞いてみることにする。

「先輩、何がしたいんですか」

「特に理由は無い」

「…………」

行ってから真田は有里の肩口に埋めていた顔を上げ、今度は後頭部に頬を寄せる。

「いいだろう別に。こうしたい気分なんだ」

「良くないです。暑いです。」

「そこは耐えろ」

「嫌ですよ」

湊は眉間に皺を寄せて、あからさまに不機嫌な顔をする。
それを見て微笑ましくなり、口に笑みを浮かべてから真田は言う。

「好きな奴とは出来るだけ触れ合っていたいだろ?」

ええい、このタラシめ!



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なんだか意味が良く分からない文に…。
珍しく先輩がへたれじゃない


(加筆修正後 / 押せ押せな先輩が書きたかったんだと思うよ。にしても、本編の季節は総無視ですね)






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