何時も通り授業が終わって、終礼も終わって。今日は買い物して帰ろうかな、お金も貯まったことだし、なんて考えて座っていた椅子から立ち上がった。途端、
「海斗!」「先輩!」
背後から同時に声がかけられた。大声に耳がキーンとする。振り返ると案の定陽介と完二だった。
「うるさい…」
「海斗、一緒に帰ろうぜ!」
「先輩、俺と一緒に帰りましょう!」
「はぁ?」
どっちなんだ。3人じゃ駄目なんだろうか、駄目みたいだな。なんか言い合い始めたし。とりあえず俺の意思はあまり尊重されていないようだ。
「花村先輩はこの前一緒に帰ってたじゃないッスか!」
「そんなこと関係ねぇもーん」
「関係あります!」
完璧に小学生の言い争いになっている。いい加減にしてほしい。まわりの視線が痛い。
「海斗!海斗はどっちと帰りたいんだよ!」
「そうッス!どっちなんスか!」
「…え、」
正直言うとどっちでも良い。とにかく帰りたい。晩御飯作りたい。
「じゃあ、完二」
「な!」
「お、俺ッスか!?」
なんで完二まで驚くんだ。ただ、この前は陽介と帰ったからってだけなんだけど。
「じゃあ帰るぞ完二。また明日な陽介」
「ハ、ハイ!」
背後から陽介の不満げな声が聞こえるが、気にしないことにした。
「…………」
「…………」
「…………」
「………あ、あの、先輩!」
「何?」
「いや、あの、その…」
完二は何やらもごもごと口の中で呟くばかりで歯切れが悪い。さっきからずっとこんな調子で、ちっとも会話が成り立たないものだからこちらとしてはやや退屈だ。一方完二は顔を赤くしたり青くしたりしながら、時々ちらちらと俺を盗み見ては慌てて前を向くのを繰り返していた。忙しいことだ。
「えっと、あの、その、」
「…ハッキリしろよ。男らしくないぞ」
「!…男らしく、ですか…」
完二はこの『男らしく』という言葉に弱いようで、また何やら悶々と考え込んでしまった。
「先輩!」
「!」
と、思っていたら、急に呼ばれて驚いた。肩を掴まれて完二の方を向かされる。…ちょっと痛い。
「…何?」
「あ、あの…」
ごくり、と音がして、完二ののど仏が動いたのをぼんやり見ていた。
「つ、付き合ってほしいんス!」
「それは構わないが、何処にだ」
「ちょ、ベタすぎて笑えないっすよ…」
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な、なんだか中途半端なような…。
(加筆修正後 / 一万打リクエスト企画のもの。花→主←完で完二オチ。キャラが掴めてない…)
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