「あー…幸せ」
「大げさだな」
「んなことねぇって。お前の弁当食べられる日はすげぇ運が良い日なんだよ」
「は?何で?食いたい時に言ってくれれば作ってくるぞ?」
「いや、けどな、」
「あ、見つけたー!」
幸せの時間はあっさりと終わってしまった。
「花村!抜け駆け禁止!」
「駄目だよ、花村君」
「ずるいっスよ!」
「そうだよー!」
上から里中、天城、完二、りせ。せっかくの俺の幸せの時間を奪う悪魔共。
毎回これなのだ。海斗は暇が出来れば弁当を作って、俺を昼飯に誘ってくれる。こいつらはそれが気に入らないようで、俺と海斗が教室にいないと全力で探し回る。そして奪っていく。(海斗と弁当を)迷惑極まりない。
「だいたい何でいっつも花村なのよー!」
「次は私の番よね」
「えー、先輩ずるいー!」
「次は俺の番ッス!」
「あたしだよー!」
…何なんだこいつらは。なんなんだこれは。仲間割れ?馬鹿なのか?
つんつん、と服を引っ張られて横を見ると、弁当をしまった海斗が立ち上がっていた。小声で話しかけてくる。
「なんだかよく分からんが、今のうちに逃げるぞ。多分気づかれない」
「あー…、だな、行っちまうか」
俺も立ち上がって、そうっと階段まで歩く。あいつらはまだぎゃあぎゃあ言ってて気づいていない。
「よし、陽介、行くぞ!」
「おう、って、わ!」
海斗に手を掴まれた。そのまま海斗が走り出したから、俺は若干引きずられるかたちになる。俺としてはだいぶこっぱずかしい。でも、なんだか海斗は楽しそうだからそれが嬉しくて、俺も全力で地面を蹴った。
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2人して廊下を全力疾走してモロキンに怒られたらいいよ。
(加筆修正後 / 一万打リクエスト企画のもの。総受けからの花村ルートがリクでした。)
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